「魚が獲れず、輸入価格も上がり続ける…」安くておいしい魚を日本に取り戻す"たった1つ"の現実解
貿易に関しては、ロシアや中国などによる輸入規制、あるいはアメリカの関税が話題になります。しかし筆者は、国として準備すべきことは、貿易相手国の輸入制限よりも、むしろ輸出国が売ってくれない「輸出制限」だと捉えています。
23年と25年(実際は23年からの制限のまま)に中国が水産物の輸入制限をしました。仮に一時的にホタテなどの相場が下がることがあったとしても、今では中国ゼロでもホタテは供給不足で価格が高騰しています。輸出先にはまったく困っていません。つまり特定の国が買わないリスクは、販路の組み替えで吸収できる余地があるということです。
一方で、もし水産物や農産物をはじめとする食料の輸出が制限されたら、とても困ることになるのです。価格が上がるだけでなく、そもそも必要な量を確保できなくなるからです。
国内の水産資源が回復しない現実
そのための対策は、国内水産物の資源回復です。遅れている設備の機械化・自動化も必要です。ところが、設備を整えても資源回復が伴わないという現実が、結果として顕在化してきました。つまり、加工能力を増やしても、肝心の原料となる魚が安定して獲れなければ、投資の効果は限定されてしまうのです。
東日本大震災の際には、水産加工業の再生を目的として8分の7の補助が行われました。そして、フィレーマシンとして北欧などで広く使用されているドイツのバーダーといった最新の機械が輸入されていきました。
また、放射性物質の影響で漁獲が止まり、資源が一時的に急回復したマダラなどは、漁獲枠もないまま小さな個体まで獲ってしまい、今では震災前よりもひどい状態です。海外加工も進んだため、輸入原料はいっそう入ってこなくなりました。
刻一刻と資源は回復とは逆の方向へ進み、残ったのは補助金で得た設備や最新の水産機器になりつつある――それが現実です。もし、一時的に回復したマダラの資源管理を、科学的根拠に基づくTAC(漁獲可能量)や個別割当(漁業者・漁船への割り当て)で実施していたら、現在とはまったく違う、発展した三陸になっていたことでしょう。非常にもったいないことをしてしまいました。しかし、時計の針は元には戻りません。


















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