急浮上する原潜保有論・その実現可能性は(後編)/建造能力、母港決定・地上施設の建設、社会の容認…保有までにハードルが高くそびえる

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もちろん、いずれの問題も時間さえかければ解決はする。それほどの難題ではない。ただし、実用水準を達成するには20年程度が必要となるだろう。

そして最初に建造された原潜は使い物にはならない。次の原潜も、おそらくは実用面では不満が残る。その改修が終わる、あるいは最初から使い物になる3隻目が完成するにはそれくらいの年数が必要となる。

なお、これらの技術的問題はアメリカ製購入で回避できる。潜水艦用の原子炉や長寿命核燃料、さらには完成品の原潜を購入するといった方法である。ただ、許可が出るかはわからない。

アメリカの政権や世論が不安を抱けば輸出は難しい。例えば「日本が中国を挑発しており巻き込まれる可能性がある」「政権が核武装論をもくろんでいる」とみなされる事態では難しい。

原潜保有までの費用支出が認められるか

そもそも、今は輸出の余力もない。アメリカの軍艦建造では納品の遅れが常態化している。それは原潜も同じである。自国分の整備も苦慮している状態だ。日本の買い付けに応じる余裕はないし、仮に合意しても納期通りに引き渡されるかはわからない。そうすると、やはり原潜入手には高いハードルが存在しているのである。

日本社会が原潜保有を許容するかどうかという問題もある。その筆頭は、建造のための支出を認めるかの問題である。

仮に、原潜の建造が現実的に可能だとしよう。技術面ではまったく問題はない。実用性でも日本が求める性能を満たしている。あるいはアメリカ製と遜色はない潜水艦を入手できる。南シナ海やインド洋で中国海軍と戦える潜水艦が作れるとしよう。

ただ、そのために巨額の支出を社会が認めるかは別である。それを政府や国会、世論が妥当と見なすかはわからない。

実用型を作るまでには5兆円はかかるだろう。開発費に1兆円、関連施設の建設費に1兆円はかかる。その後に、1隻1兆円の原潜を習作で2隻作り、3隻目で実用型が作れるとした場合である。

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