例えば、原子炉の冷却ポンプで生じる騒音だ。ディーゼル・エンジンとは比較にならない量の冷却海水を扱うため、大馬力のポンプが必要になる。本体や据付方法を工夫しなければ騒音や振動を引き起こす。
騒音が冷却配管に伝わる問題も生まれる。原子炉小型化のためには高圧で送水する必要があり、大深度潜航時も冷却を続けるために強烈な水圧もかかる。そのためには鋼製管、海水腐蝕に強いステンレス鋼管を使うことになる。だが、硬いため冷却ポンプの騒音を船体に、さらに水中に効率よく伝えてしまう。
通常動力型潜水艦のやり方は通用しない
今の潜水艦のやり方は、おそらくは通用しない。ディーゼル・エンジンの冷却要求は原子炉よりも低い。運転時の水深も20m未満なので水圧も無視できた。それからすれば、どこかをゴムホースや蛇腹配管にして騒音の伝達を絶っている程度だろう。それが原潜ではできない。新しくジョイントや配管形状、固定法、振動減衰器の工夫が必要となる。
減速機もまた騒音の発生源となる。これはタービンの高速回転を歯車でスクリューに適した超低速回転に引き下げる機械だ。具体的には1分間あたり1万回転前後から、200回転から15回転の範囲に落とす。これも工夫しなければ歯車の噛合や偏芯、共振で騒音を引き起こす。抑制には新しい工夫がいるだろう。
護衛艦用では減速機の静音化を達成している。ただ、狭い潜水艦でその手法を適用できるかはわからない。
そして、騒音以外の問題がある。例えば、性能を満たす蒸気タービンを作ることができるか、である。火力発電所用は今でも作っている。ただ、軍艦用は1979年から作られていない。護衛艦「さわかぜ」用が最後である。それもエンジン全体としては騒音対策型ではなかった。
冷却排水の適切な拡散もある。原潜のエネルギー効率は悪い。発生した熱の相当部分は熱排水として海中に放出している。その際に、熱排水をうまくスクリューで拡散できなければ見つかりやすい原潜になる。


















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