54歳で東京藝大合格。「京大卒→電通で32年勤務」のエリートに退職&学び直しを決断させた"あの時の後悔"

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「次の受験は半年後だから、今年は受かる自信はありませんでした。退社してからいろんな人に現在の受験事情を聞いて情報を集めました。受験勉強は面白かったです。心理学をやろうと思ったくらいですし、自分を実験台にして勉強をやってみて、自分の認知能力で当時より劣っているもの、そうでもないもの、逆に当時よりできているものを確かめるのが楽しかったです」

夏頃からスタートした受験勉強では、現役の受験の時から3つの能力が落ちていると感じます。それが、CPU(処理能力・速度)、エラー、メモリー(記憶力)の3つでした。

「時間を気にせずに数学の問題を解いたら、25分で解かないといけない問題に50分かかっていました。昔に比べて処理速度が半分に落ちているのを取り戻すのは相当難しいと感じましたね。

また、総合的な判断力や出題意図を読み取る能力は昔より高まっていましたが、A国の農産物について答えよという問題で勝手にB国と読み替えてしまったり、4+5の回答を8にしてしまったりと、問題文の見間違えや簡単な四則演算の間違えなどのエラーに気づけなくなっていました。

記憶力も低下していましたが、3つの中で1番取り戻せたのはこれでした。記憶術の本などを読んでいたので、同じ情報を連続してインプットして脳に「この情報は重要だ」と思い込ませるとか、文字を頭の中でビジュアルとつなげたりするなどの応用ができました。CPUの衰えとエラーの多さが致命的となる数学は最後まで感覚が戻りませんでしたが、逆に地歴や生物・地学などの暗記ものの成績がこの歳でも伸びるのが意外な発見でした」

東京藝術大学を選んだ理由

現役時代から30年以上が経過してから臨む受験勉強で、自分なりに工夫しつつ様々なことを試した和田さん。受験期が迫り、志望校をどうしようかと悩んでいた時に選択肢に入ったのが、プライベートで仲良くしていた先輩の卒業校だった東京藝術大学でした。

「自分は人文科学の中でも、統計処理的な学問よりは哲学や宗教学などが好きでした。それに加えて、音楽が好きだったので藝大には若い頃から憧れもあったし、藝大の美術学部芸術学科出身の先輩に話を伺ったりする中で、思想としての『美』を勉強したいと思うようになりました」

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