京都大学の教育学部に進学した和田さんは、卒業後、電通に入社します。そこで30年以上勤務したものの、32年目に退職し、もう一度大学受験をする決断をしました。再受験しようと思った理由をお聞きすると、「学ぶことは好きだったはずなのに大学時代に勉強しなかった後悔を引きずっていたから」と答えてくれました。
「河合塾の先生が知的好奇心を高めてくれる先生で、そこで哲学や現代思想に興味を持ち出したんです。京大の入試ではアダム・スミスについての問題が出題されたのですが、『入学前に読んでいた本から出題されたのでラッキーだった』と言っている人が周囲にいて、高校時代にアダム・スミスを普通に読む人がいるなんてすごい場所だ!とワクワクしていたものの、京都に住むという目標を達成して疲れてしまったんです。
入ってからの目標を持っていないから、学校にまったく行かなくなって、4回生の時に慌ててごっそり単位を取って卒業しました。勉強は割と好きだったし、あれほど知的好奇心を感じた場所だったのに何の勉強もしなかったという気持ちをずっと引きずっていました。
それから32年間働きましたが、書籍を読む程度の、言ってみれば教養課程を30年以上やっている感覚で、ちゃんと専門と言える学問を自分の中に持ちたいと思っていて、もう一度学問をやるとしたら何をやるか、と妄想することも多かったです。
自分は人間の心や思想全般に関心があるので、哲学でも宗教学でもよかったのですが、心理学をもう一度やろう、そのために目標が必要なので臨床心理士と公認心理師の資格を取ろうと思って受験勉強を始めました」
54歳で電通を早期退職
54歳の3月末に会社で早期退職の募集があり、4月末に応募を決めて夏頃に退職した和田さん。最初は大学院に行こうと思ったものの、公認心理師の基準が30年以上前の大学卒業では単位の基準が満たされないことと、学士入学は募集する大学が限られていることに加えて不確定要素が多いということもあり、一般受験で受け直しを決意しました。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら