1錠で即死する「偽装された鎮痛剤」が蔓延するアメリカの緊急事態——24歳息子を奪われた母が告発する、巧妙すぎる"殺人薬"の罠
当時ピザ店で働いていたニックさんも同僚たちも20代の若者たちだ。「どうやらニックは当時の店の女性マネージャーから薬を渡されて『これ、飲みなよ』と勧められることもあったらしい」とパーカーソンさん。
アメリカの若者たちの間では「鎮痛剤を飲むことがクール」という意識があり、親しい仲間に誘われて断れば「堅物」として扱われてしまうのではというプレッシャーがあったことをパーカーソンさんは知る。
それでもノーと断り続けていたニックさんだったが、親戚からの度重なる要求に屈して錠剤を手に入れたことで、自分も半分だけ試しに飲んでみようと気が変わったのだろうか。
「少なくとも、ニックはまさか自分が翌朝亡くなるなんてまったく知らなかったはず」とパーカーソンさん。
息子の命が突然奪われた悲しみに加え「どうせ彼はもともとドラッグ依存症だったんだろう」という世間の冷たい視線が追い打ちをかけた。警察署が「よくあるオーバードース」と入手経路の詳しい捜査をしなかったことにも失望した。
依存症ではなく殺人
「これはもはや依存症の問題ではない。違法ドラッグの流通問題だ。もし私が声を上げて違法フェンタニルの危険性を警告しなければ、多くの若者がニックと同じ目に遭い、新たな親たちが悲しむ」
そう思った彼女はネットで同じ境遇にある親たちとつながり「ネバー・アローン・ニック・ラッカー基金」という非営利団体を立ち上げ、自費でケンタッキー州内の道路脇のビルボード広告スペースを複数買い、ニックさんの顔写真を大きく掲示し「これは殺人です」と文字をつけた。
帽子を被りスウェットを着た24歳の彼の顔は健康で、ドラッグ依存症で苦しんでいる人には見えない。それが彼女の狙いだ。
「運転中の10代や20代の若者が、自分と同じような年齢なニックの顔写真を見て、何これ?と一瞬でも目を留めてほしいから」


















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