日本語バージョンのために900億円も注ぎ込んだ!アリババが"本気"で作ったAIボイスレコーダーが示す、未来の働き方

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25年8月、DingTalkの陳航CEOはAIネイティブアプリへの発展を表明し、「釘釘One」(ディンディン・ワン)という新ブランドを発表している。音声入力によってAIエージェントが活動し、会議の予約や情報検索、プロジェクトの進行管理などを行うことができる。

DingTalk A1はその一環で、たんなる文字起こし、議事録作成にとどまらず、会議でまとまったタスクが自動的に社内でシェアされ、会議で決まったタスクが自動的に他部門のスタッフのスケジューラーに登録されるといった展開が予告された。最終的に「人找事」(人間がタスクを探す)から「事找人」(タスクが人間を探す)への転換が目標だ。

DingDing Oneのトップページ
DingDing Oneのトップページ。各種の機能が並列されている中で、DingTalk A1は中心的な位置づけに置かれている(筆者撮影)

転換のカギとなるのがボイスレコーダーだ。現在は人間が能動的に情報入力する必要があるが、AIボイスレコーダーが会議や日常的な音声メモからタスクを見つけ出して、AIエージェントを稼働させたり、同僚に仕事を投げたりするようになる。これがアリババの構想する「未来」の会社のあり方、働き方というわけだ。

組織単位でディントークを導入しなければ、DingDing Oneの恩恵は受けられないので、日本で直接利用できるケースはほぼないだろうが、AI活用の事例としては注目したい。

AIに自分を理解してもらうための記録が必要に

また、霊音氏は個人としても自らのデータを蓄積する必要があると話した。

「2~3年後には誰もが自分の分身(アバター)を持つようになる。自分の性格、役割、思考パターンを認識した分身が代わりに会議に出席したり、コミュニケーションしたり、意思決定することが可能になるのではないでしょうか。アバターを作る技術が完成したとしても、その時にあなた自身がどんな人物なのかをAIに理解させるためのデータが必要です。常日頃から自分の発言や考えを記録として残しておくことが備えになる」

AIによって未来の社会がどう変わるのか。日本ではもっぱらアメリカの議論が注目されているが、もう一つのAI大国・中国からもユニークなアイデアとソリューションが生まれている。ウォッチする価値がある存在ではないか。

高口 康太 ジャーナリスト

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たかぐち・こうた / Kota Takaguchi

ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国の政治、社会、文化など幅広い分野で取材を続けている。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『中国「コロナ封じ」の虚実』(中公新書ラクレ)。

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