ガザ地区で最後まで取り残されたイスラエル人人質を奪還したユダヤ人のメンタリティー

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2026年1月28日、イスラエル南部メイタールで行われたイスラエル人人質ラン・グヴィリ氏の葬儀で、警察官の棺担ぎが棺を運んでいる(写真: 2026 Bloomberg Finance LP)

2026年1月26日、ハマスに拉致された最後のイスラエル人、ラン・グヴィリ氏が843日ぶりにイスラエルに戻ってきた。「戻ってきた」と言っても、自らの足で立って帰ってきたわけではない。遺体となって戻ってきたのである。ハマスが遺体を「戻した」わけでもない。イスラエルの特殊部隊が「取り戻した」のだ。

この作戦は、数週間にわたる準備と、非常に高いリスクを伴う地下作業の末に完了した。ラン氏の遺体は、ガザ南部ハンユニスの地下深くに掘られた複雑なトンネルネットワーク内で発見された。この作戦を成し遂げたのは、「ヤハロム」というイスラエル国防軍の特殊部隊だった。

「返還」ではなく「奪還」した最後の人質

ヤハロムは、地雷処理やトンネル戦などに特化した特殊作戦工兵部隊である。この戦争中、複雑に張り巡らされたガザのトンネルを攻略するのに活躍した。ハマスが仕掛けたブービートラップ(仕掛け爆弾)を解除しながら前進していくという、非常に危険な任務である。

遺体を探索するのに高度なセンサー技術が活用された。地中貫通レーダーや、トンネル内部を3Dマッピングする自律型ドローンが投入された。これにより、肉眼では見つけにくい「偽壁」や「埋め戻された空間」を特定できたという。ラン氏の遺体は、非常に狭く、隠蔽された隔壁の裏側に安置されていた。

インテリジェンスも助けとなった。数週間前に拘束されたハマスの「トンネル管理人」の証言内容が決定的な手がかりとなった。この人物が、23年10月7日に運び込まれた遺体の具体的な保管場所(セクター名)を供述した。さらに、偵察衛星とドローン映像を解析する9900部隊が、特定のシャフト(縦坑)周辺での不審な動きを過去に遡って特定し、裏付けを行った。

次ページ最後の捕虜・ラン氏はどんな人?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事