「ディズニーとオープンAIが電撃契約!」→先鋭的にも感じるが、一歩引いて"冷静に見るべき"理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうした空気感を、よりストレートな言葉で語っているのが、アメリカのメディアアナリスト、エヴァン・シャピロ氏です。彼は、生成AIを「創作を担う存在」ではなく、「地味に有効な最適化ツール」と位置づけています。

シャピロ氏は自身のポッドキャスト『Media Odyssey』で、「AIバブルは26年に弾ける」という予測を立てています。もっとも、それはAIそのものの終わりを意味するものではありません。インターネットの歩みと同じように、AIもまた、過度な幻想がしぼみ、現実的な使い道だけが残っていく過程にあるというわけです。

シャピロ氏がとくに距離を取って見ているのは、生成AIを前面に押し出した消費者向けサービスが、果たして長くビジネスとして成り立ち続けるのか、という点です。

ChatGPTをはじめ、複数のAIツールに月額課金を続けるモデルは、一部の熱心なユーザーを除けば、長くは続かないだろうと見ています。一方で、グーグルやメタのような巨大テック企業は、AIを表に出すのではなく、広告配信や検索、レコメンドといった裏側の最適化に組み込むことで、すでに実務に活用しているとも指摘します。

ディズニーの動きが“過度に先鋭的”とは思わない理由

ここで語られているAI像は、MIPCOMの現場で聞いた話とも重なります。派手な創作の代役ではなく、判断を早め、無駄を減らすための道具。こうした使われ方は、エンターテインメントに限らず、いま多くの産業で広がりつつある感覚でもあります。

AIは「主役」ではなく、「脇役」として、制作やビジネスの現場に入り込み始めている、という認識です。

この見方に立てば、ディズニーがオープンAIと結んだライセンス契約も、過度に先鋭的な動きには映りません。派手な未来像よりも、どう線を引くか。生成AI時代のエンターテインメント産業に向けて、ディズニーは静かな問いかけをしているようにも見えます。

長谷川 朋子 コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事