杭打ちデータ「不正流用」は日常茶飯事なのか 業界大手ジャパンパイルでも7件発覚
ジャパンパイルはコンクリート杭の設計、製造から施工までを手掛ける。コンクリート杭の出荷量シェアでは、三谷セキサン(シェア24.5%)に次ぐ2位(同23.4%)。黒瀬社長はコンクリート杭の業界団体である「コンクリートポール・パイル協会」と「コンクリートパイル建設技術協会」の両方で会長を務める。まさに業界の重要企業である。
今年10月には「アジアパイルホールディングス」という持ち株会社が、ジャパンパイルと、ベトナム・ミャンマー両国にある子会社を束ねる新体制に移行したばかりだった。
2015年3月期の売上高は671億円、営業利益は35億円。今2016年3月期は、液晶大手ジャパンディスプレイが石川県に建設する新工場の杭打ち工事など大型案件が寄与し、1割強の増収を見込んでいた。
他社も手を染めているのではないか?
ジャパンパイルは、直近5年間の工事案件を対象に、自主的な調査に乗り出す。法律で定められた書類の保存期間が5年間であるためだ。同社は年間2400~2500の杭打ち案件を手掛けるが、電流計を使用する工法のものはそのうち計1万件程度と見込む。調査終了までは半年ほどかかるという。
今後の焦点は、ほかの企業にも同様の不正が存在するのかということ。コンクリートパイル建設技術協会は19日、ジャパンパイルに先だって記者会見を行った。
協会は、旭化成建材を除く会員40社に施工管理データの点検実施状況を確認し、施主や元請け業者から要請を請けた件数と自主点検件数は合計で1万2000件で、そのうち点検済みの者は2388件と約2割であることを明らかにした。
同協会長を兼ねる黒瀬・ジャパンパイル社長は「信頼を損ね、安心への願いを踏みにじる行為で心からお詫び申し上げる」と陳謝した一方で、「(データの流用の有無の調査は)各社の内部情報に踏み込むことになるので調査は難しい。そもそも業界団体としてその権限があるのかはわからないし、適切な答えが返ってくる保証もない」として、協会として全容把握はできない考えを示した。
業界を代表する大手のつまずきは、コンクリート杭工事の信頼性そのものを揺るがすことになりかねない。流用件数はまだ増えるのか、業界他社からも発覚するのか。事態は混迷を極めている。
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