若者が質問「普通ってそんなにいけないこと?」—。『テルマエ・ロマエ』作者のヤマザキマリ「最後の講義」の回答は

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「イージー・ライダー」(1969)
『イージー・ライダー』は自由を求めてアメリカ横断の旅に出る2人のライダーの物語(1969)(写真:Album/アフロ)

自由であることとは

みんながあなたに普通の道を選ばせないような言葉で挑発するのは、それこそ『イージー・ライダー』ですよ。自由に生きている人を目の当たりにすると怖さを感じるから、それをつぶそうとする。日本は調和重視の社会なので、なおさらその傾向が強い。

ポルポト政権のカンボジアも、中国の文化大革命の知識人弾圧も、結局、全体主義的な方針を揺るがす自由因子の撲滅行為ですが、今でもそれはどことは限らず、強く根づいていますね。従順なヒツジだけの群れをつくるのに、群れの外へ出てしまうヒツジは真っ先に屠殺されてしまうわけです。

ヤマザキマリさん
ヤマザキ マリ / 日本女子大学 国際文化学部国際文化学科 特別招聘教授、東京造形大学客員教授。1984年にイタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。比較文学研究者のイタリア人との結婚を機にエジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなどの国々に暮らす。2010年『テルマエ・ロマエ』でマンガ大賞2010受賞。2015年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。2024年『プリニウス』(とり・みきと共著)で第28回手塚治虫文化賞のマンガ大賞受賞。著書に『ヴィオラ母さん』『ムスコ物語』『歩きながら考える』『扉の向う側』『貧乏ピッツァ』など。現在、『続テルマエ・ロマエ』を集英社「少年ジャンプ+」で連載中(写真:ノザワヒロミチ撮影)

私が移り住んだ欧州は、そういう意味では普通と同じくらい自由人も社会に認知されているというのはあります。ヒーローを崇める宗教による個人主義が根づいているからでしょう。

私は14歳で1人ヨーロッパを旅したときに出会ったマルコじいさんに「やはり絵描きはやめて通訳にでもなります」と伝えたところ、「絵はどうした、なんでそんな無難な道を選ぶ!?」と言われたわけです。マルコじいさんは私の母に手紙で「若いときにしか苦悩や屈辱と向き合えないのだから、早いところヨーロッパによこしなさい」と伝えました。

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