「2万円で買う安心」緊急避妊薬を使った彼女の"心の傷"――薬局での市販化解禁。医師の診察・処方箋なしで買えても残る「性教育」への課題

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計画外妊娠の背景には、コンドームの破損などの避妊失敗や、十分な避妊知識・手段が行き届いていない現状のほか、見過ごせない要因として、“性暴力(同意のない性交)”の存在があります。

内閣府男女共同参画局が実施した「男女間における暴力に関する調査」(2024年3月)によると、不同意性交の被害経験がある女性は8.1%にのぼり、その半数以上が10代での被害と報告されています。

本来であれば、性暴力被害に遭った場合、警察へ被害届を提出することが望ましいとされていますが、心理的・社会的なハードルが高く、実際に届け出を行う人は多くありません。

そうしたなかで、多くの女性が最初に頼る先となっているのが、医療機関です。彼女たちの目的は、緊急避妊薬の処方、性感染症検査、中絶です。

しかし、これまで緊急避妊薬は医師の処方箋が必須であったため、夜間・休日や医療機関の少ない地域では、要件として必要な「72時間以内に薬を服用すること」が、物理的に困難なケースが多く存在していました。

実際に、「緊急避妊薬を求めてカップルで受診したが、休日で医師が不在のため処方できず、帰ってもらうしかなかった」という現場の声もありました(筆者が実施したSNSアンケートより)。

筆者自身も、過去に緊急避妊薬が必要になった経験があります。

できるだけ早く服用したいと思っても、土日に対応している医療機関を探すことは容易ではありませんでした。やっとの思いで土曜日に診療している病院を見つけ、その日の予定をすべてキャンセルして、医療機関へ向かいました。

費用は2万円。社会人1年目で、まだ初任給も入っていなかった筆者にとっては、決して小さくない出費でしたが、それでも、薬を手に入れられたことで得られた安心感は、金額以上に大きなものでした。

緊急に必要な薬なのに、手に入らない――。その現実に、強い違和感を覚えました。

「緊急避妊薬」市販化までの経緯

これほど緊急性が高いにもかかわらず、なぜ日本ではこれまで市販化が進まなかったのでしょうか。

実は、日本では2017年に一度、緊急避妊薬の市販化が検討されました。しかし当時は、性教育が十分ではないことや、誤った認識による不適切な使用が増える可能性が懸念され、市販化は見送られました。

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