最愛の夫を亡くした元朝日新聞記者の独白。「悲しみは乗り越えるものではない」――遺族を傷つける"若すぎる死"という無意識の言葉

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大切な誰かを亡くすということは、「立ち直る」とか「乗り越える」といった言葉では片付けられない、もっと複雑で、でも人間らしい営み(写真: Luce / PIXTA)
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「悲しみは乗り越えるものではなく、抱えながら共生していくものだと思います」。そう穏やかに語るのは、元新聞記者の河合真美江さんだ。2020年に最愛の夫を亡くし、深い喪失感に苛まれる中、自身が籍を置いていた朝日新聞で一つの連載をスタートさせた。タイトルは「喪の旅」。大切な人を失った人々が、その後どのような道のりを歩んできたのかを丁寧に綴り続けた。
5年間にわたる丁寧な対話を通じて見えてきたのは、効率やスピードが重視される現代社会で、置き去りにしてしまいがちな「悼む時間」の重みだったという。取材を通して触れた数々の「喪失のリアル」と、自身の悲しみとの向き合い方がどう変わっていったのか、その歩みを聞いた。

取材で見つめた悲しみのありよう。揺れ動く心の先に見える「人生の深み」

――河合さんは朝日新聞の人気連載「喪の旅」(2020〜25年)にて、身近な人を亡くされた方々への取材を重ねてきました。とくに心に残っているエピソードはありますか。

河合さん
1963年、東京生まれ。1986年に朝日新聞社入社。松江支局や大阪本社文化部、金沢総局に勤務し、2025年に退社。文芸や宝塚歌劇、食文化、ジェンダー、死別と向き合う生き方を取材した(写真:河合さん提供)

河合:ある50代男性のお話が忘れられません。妻に先立たれた彼は、まさか自分が遺される側になるとは思っておらず、3人のお子さんを抱えて途方に暮れていらっしゃいました。

彼はバンドを組んでいて、妻も一緒に活動していたそうです。一周忌は家族も交えて「追悼ライブ」を開き、そのときは「またいつか会える」と少し前を向くことができたとおっしゃっていました。

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