日本発の「腐女子」に世界が追い付いた、メロドラマ「Heated Rivalry」の人気ぶりにみる北米ボーイズラブ人気の実相

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仮に踏み込んだとしても、女性キャラクターは男性優位社会で従属的な立場に置かれた存在として表現されることが多かった。

しかし、互いに恋する美少年たちは、そうした制約を受けない。より現実感の薄い、日本人離れした容姿であればなおさらだ(少なくとも安全だった)。

日本には、男女が共に憧れる美少年の伝統があり、その起源は11世紀の「源氏物語」にまでさかのぼる。

視聴率

現代に影響を及ぼす出来事は、女性作家が漫画業界に参入し始めた71年に起きた。トーマス・マン原作「ベニスに死す」のルキノ・ヴィスコンティ監督による映画化と、ダーク・ボガード演じる主人公グスタフ・フォン・アッシェンバッハが執着する青年タジオを演じたビョルン・アンドレセンの来日だった。

アンドレセンは日本のメディアから「世界一美しい少年」と称され、国内で一大センセーションを巻き起こした。彼の容貌は、魅力的な漫画の少年や男性の顔立ちにすぐさま反映された(そして、この男性美の系譜は、現在のアジアのボーイズグループのビジュアルへとつながっていく)。

こうした様式化された欲望の対象は、女性作家に日本の日常生活からの距離を取る手段を与えると同時に、創作上の自由ももたらした。ドイツ小説を原作に、イタリア人監督が撮った映画に出演したスウェーデン人俳優が、幻想というベールをまとい、日本の女性たちに愛と情熱を探求する自由を与える一助となったのだ。

この市場は過去半世紀、多様化が進んだ。性描写を最小限に抑え、関係性の繊細な痛みを描くBL漫画もあれば、より露骨な作品もある。

並行するサブジャンルとして、ゲイ男性がゲイ男性のために制作するゲイコミックも存在するが、BLに比べると市場シェアは小さい。書店では、少女や女性向けのコミックとは別のよりアダルトな棚に置かれている。

西洋にも、同性愛関係を描いて高い文学的評価を得た女性作家は少なくない。マルグリット・ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」、メアリー・ルノーの「アレクサンドロス」三部作、より近年ではマデリン・ミラーの「アキレウスの歌」が挙げられる。

アキレウスの歌は2011年の刊行以来、25言語で世界累計300万部ほどを売り上げた。日本のBL作家と同様、これらの作家も古典史や神話という「距離」を介して欲望を扱っている。

一方、Heated Rivalryの成功は、BL漫画のポップカルチャーとしての熱量と即時性を併せ持つ。社会学的な細かい分析にそれほど関心のない人にとっては、LGBTQ+系サイト「Them」に掲載された次の見出しが全てを言い尽くしている。

「女の子たちはホッケーBLに夢中... 視聴率はとんでもない」。 

(ハワード・チュアイオン氏は、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、文化とビジネスを担当しています。以前はブルームバーグ・オピニオンの国際エディターで、米誌タイムではニュースディレクターを務めていました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません) 

著者:Howard Chua-Eoan

ブルームバーグ
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