金持ちだけが潤い、庶民には借金だけトリクルダウンする「格差経済」の正体 資産価値を吊り上げる「負債」という錬金術

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一部の富裕層イメージ
かつて「富裕層が豊かになればその恩恵が社会全体に滴り落ちる」という理論が唱えられましたが……(写真:タカス/PIXTA)
現代経済の繁栄は、危うい「負債の連鎖」の上に立脚している。上位10%が資産をほぼ独占して潤う一方で、下位60%には日々の生活を縛り付ける借金だけがこぼれ落ちていく。この不均衡はもはや、個人の努力では埋められない構造的な欠陥ではないか。煽動政治や社会不安を招きかねない「格差経済」の臨界点とは。このたび刊行されたリチャード・ヴェイグ著『世界は負債で回っている』をもとに解説する。

現代の富の7割を占める「株式と不動産」の虚像

現代社会において、一国の富の正体とは一体何だろうか。

『世界は負債で回っている』
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アメリカ経済を例に見ると、最も重要かつ巨大なマクロ部門は「家計」である。

この家計が保有する純資産の額は、1950年には国内総生産(GDP)の376%であったが、2021年には654%という驚異的な水準まで上昇している。

わずか70年余りで、家計の純資産はGDPの6.5倍にまで膨れ上がったのだ。

この爆発的な資産増加の主犯格は、株式と不動産である。2021年時点で、これら2つの資産カテゴリーはアメリカ家計の純資産の実に70%を占めるに至っている。

特に株式の伸びは著しく、1950年にはGDPの145%だった保有比率が、2021年には275%と過去最高を記録した。

しかし、ここで立ち止まって考える必要がある。なぜこれほどまでに資産価値が膨れ上がったのか。その背景には、1980年代に始まった「大債務爆発」がある。

土地や株式の取引を目的とした資金調達、つまり負債の累増が、これらの資産価値を押し上げ続けてきたのだ。

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