レッドソックス・吉田正尚が「ホームランを1本打つごとに10万円寄付」と決めた理由。なぜホームランにこだわるのか?

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日本でプレーしていた頃から、彼が熱心にチャリティ活動に取り組んできたことは有名な話だ。私たちは今、彼自身が支援する青少年施設「若者の家」に向かっていた。

「以前からずっと、自分がサポートしている子どもたち、その生活環境を見てみたい。そんな思いは持っていたけど、コロナの時期と重なったこともあって、なかなか実現しなかった。でも、ようやく環境が整ったので、〝ぜひ、自分の目で見てみよう〟と思ってスケジュールを調整しました。2泊3日という短い期間だけど、どんなところで子どもたちが暮らしているのか、ぜひ自分の目で確かめたいと思っています」

過去のインタビューにおいて彼は「現役でいる間は限られているのだから、野球を中心に、野球のために自分の時間を使いたい」と発言している。裏を返せば、「野球とは無関係な時間は極力排除したい」とも受け取れる。

今回のカンボジア行きもまた「野球のため」なのだろうか? 質問を投げかけると、迷いのない口調で吉田は言った。

「僕がチャリティ活動を始めたのはプロ4年目のことでした。野球がきっかけでこういう活動を始めたわけだし、それが僕のモチベーションにもなっている。

ということはやっぱり、今回のカンボジアへの旅も、〝野球のため〟と言えるんじゃないですかね」

成績向上に直結する肉体的、技術的なトレーニングではない。けれども、「一人のメジャーリーガーとして」、そして「一人の人間として」考えた場合、「知らない世界を自分の目で見て経験することは、メンタル面ですごく大切」と吉田は言う。

「もともと、知らない世界を見ることが好きだったので、よく海外には行っていました。いろいろな景色を見て、いろいろな人に出会って、それぞれの文化を体感することは、今後の自分に生きてくるだろうし、それが野球に対しても何らかの影響を与えることになるはず。そんな思いはありますね」

すべてのときが止まる——ホームランの魅力

プロ入り直後から「チャリティ活動をしたい」と思いつつも、何も伝手(つて)がなかった吉田だが、3年目のオフに転機が訪れる。NPO法人BLF(ベースボール・レジェンド・ファウンデーション)のチャリティイベントに参加したのである。BLFはプロ野球選手個人や球団の慈善活動をサポートし、野球に関する社会貢献活動を展開することを目的に創設されたNPOである。

吉田が述懐する。

「BLFが野球選手の慈善活動をサポートしていることを知って、自分もお願いしようと思いました。スタッフの方からいくつか寄付先を挙げてもらったんですけど、その中にストリートチルドレンをサポートする団体がありました。子どもの頃に見たドキュメンタリー番組『世界がもし100人の村だったら』の印象も強かったので、その団体に寄付させていただくことに決めました」

このとき、彼が選んだのが「国際協力NGO・国境なき子どもたち」である。2019年シーズンから、「ホームランを1本打つごとに10万円を寄付する」と決めた。ここで集められた寄付金はカンボジア、フィリピン、バングラデシュなどの開発途上国で貧困に苦しむ子どもたちの支援に充てられることになった。

どうして、ホームランにこだわったのか? そこには明確な理由があった。

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