フィンランド移住3年目、30代で向き合った「老後の私」。"知らない暮らし"を知るためにやってみたこと《週末北欧部 chika》
フィンランドの芸術大学で起業家向けコースを受講したとき、先生が授業で教えてくれた言葉がある。
「ペルソナを理解するために、普段は買わない雑誌を買ってみましょう。人は、自分の中の固定概念で物事を考えてしまいがちです。でも、自分の〝外側〞にはもっと異なる考え方や暮らしがあります。知らない雑誌を買うのもそのひとつ。そうすることで、知らなかった視点に触れることができます」。
ビジネスシーンで顧客層を知るための考え方として教えてもらったのだが、自分自身のライフスタイルや人生の捉え方にも応用できるものだと感じていた。
そして実際に「自分の想像できない暮らしへの不安」を抱えた時に先生のこの言葉を思い出し購入したのが「北欧のシニア雑誌」だった。そこには月刊誌ならではの等身大の読者の暮らしや悩みがリアルに綴られていた。私が想像していたよりも明るい日々もあれば、深い困難もあった。それは、人の数だけ異なるリアルだった。
歳を重ねてから新しい親友たちと出会うおばあちゃんたちの話からは、ライフステージの変化を超えた先にある友情の希望を垣間見た気がした。一方で「親よりもChatGPTを頼る子」「叱らない育児で育つ孫」との向き合い方に悩む姿も。
今の自分にはまだない種類の悩みだけれど、いつか同じ場面に立った時には、同じように悩む人たちと共有しながら歩んでいくのだろうと思うことができた。
世界のおばあちゃんたちの言葉に救われた
こんな言葉にも出会った。
「自分の悩みや痛みを言葉にするのは、実生活の中では難しいことです。心配をかけたくなくて、家族や身近な人にさえ話せないことも多い。けれど、いつも勝気でいなくてもいいんです。負ける日があってもいいし、何もかも嫌になってしまう日があってもいい。歳を重ねたからといって、常に勇敢である必要はないんです」
おばあちゃんになっても、何でも穏やかに処理できるわけではない。その健全な心構えに、私は安心感を覚えた。こうして「今は想像できない暮らし」に触れることで、今の自分が備えられることと、今はまだ想像できないことの境界線が少しずつクリアになっていくのを感じた。
そして、おばあちゃんっ子だからかもしれないけれど、世界のおばあちゃんたちの言葉は、私の心にすっと沁みてくるものがあった。
それ以来、シニア雑誌を読むのがただ好きになった。旅先でも「その国のシニア雑誌」を見つけては買い、趣味や悩み、社会保障や家計の話など国ごとの違いを見つけながら、Google翻訳のカメラ機能を使って読むようになった。
ちなみに北欧で驚いたのは「本屋さんに雑誌が売っていない」こと。
中小規模の書店では新聞や週刊誌・月刊誌といった回転の早い刊行物を置かないことが多く、どの国でも「その雑誌はコンビニやスーパーにありますよ」と案内された。海外で雑誌を探す時には、国によってそんな違いもあるかもしれない。
雑誌の中には健康、友情、恋愛までさまざまなリアルが詰まっていた。
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