本当に出世したいなら「順番待ち」から脱せよ プロ経営者という選択肢もある

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プロ経営者が活躍する場は、大きく分けて3つに分類される。

人材のニーズは高まっている。活躍できる場は?

一つ目は、投資ファンド(プライベート・エクイティ)の出資先だ。経営不振に陥っている企業や技術はあるのになかなかそれを世に出すノウハウを持っていない企業などに、複数の投資家から集めた資金を投下するだけでなく、プロ経営者を派遣して経営改革を進める。株式上場や売却などをにらみ、その会社の企業価値を高めるのがプロ経営者の役割だ。

二つ目に、以前より旺盛なニーズがあるオーナー系企業の後継者があげられる。オーナー企業のうち、後継社未定企業は28万社弱あり、これは全オーナー企業の68%を越える。一方で、帝国データバンクの調査によると社長の交代率(過去1年間に社長交代があった企業の割合)は、2013年辞典の調査でわずか3.67%。後継者不足は深刻だ。

身内を後継者に据える場合も多いが、外部からプロ経営者を招きたいという意向を持つオーナーも多い。特に海外展開などを視野に入れた場合は、今までの経営の枠を超えられる経営者人材が必須だ。また、子息など後継者がいる場合も、まだ若く経験が足りないため、将来の経営者を盛り立てて引き継いでくれる「つなぎ役」経営者のニーズも旺盛だ。

最後に、もっともよく知られているであろう、外資系日本法人の経営者として招かれる場合だ。多くの外資系企業がつねに日本法人の経営を委ねられる人材を求めている。

『職業としてのプロ経営者』(クロスメディア・パブリッシング)。プロ経営者というキャリア選択の全貌を明らかに。平均年齢45歳の31名のプロ経営者へのインタビューなどを収録。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

プロ経営者には、もともと優秀でいわゆる名門大学を出ている人が多い。留学経験をしている人、コンサルティング経験の比率も高い。こう書くと、「ああ、そういう人だからプロ経営者になったんだ」と思うかもしれない。しかし、どれだけあなたと同様、あるいはそれ以上に優秀な人たちが、大企業の中で経営ポジションに就くための「順番待ち」をし、そして埋もれているかを考えてみてほしい。

プロ経営者人材は、払底している。しかし、今後、人材のニーズはますます高まって行くことは明白だ。そして、実はプロ経営者は誰でもその気になって取り組めば、なりやすい。少なくとも企業の出世競争に勝ってトップに上り詰めたり、起業して成功したりするよりも高いと、長年多くの人材を見てきて断言できる。

小杉 俊哉 THS経営組織研究所代表社員

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こすぎ としや / Toshiya Kosugi

合同会社THS経営組織研究所代表社員 慶應義塾大学SFC研究所上席所員  立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科客員教授


1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NECに入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て現職。著書に、『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング)、『リーダーシップ3.0』(祥伝社新書)、『2%のエース思考』(ワニブックス)など。

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