小田急や東急並みに混む「新交通」の凄い実力 「日暮里・舎人ライナー」、7年に7回も増発
国土交通省発表の混雑率データによると、2014年度の最混雑区間は赤土小学校前→西日暮里間。平日朝7時20分~8時20分の間、3904人(定員244人×16本)の輸送力に対し7281人の乗車があって、混雑率は187%にも達していた。これは激しいラッシュで知られる小田急小田原線の189%、東急田園都市線の185%にも匹敵する混雑である。
ただ、この統計が示している他の新交通システムの混雑具合を見ると、神戸新交通ポートアイランド線の最混雑区間では、1時間の輸送力(定員299人×23本)6877人に対し9178人の乗車があって、輸送人員では日本最多となっている。
また、大阪市交通局南港ポートタウン線が1時間あたり24本(2分30秒間隔)もの列車を運転している例もある。
日暮里・舎人ライナーも、需要に応えるだけ輸送力増強の余力はあるものと思われる。しかしながら、駅の設備上、編成を5両以上に延ばすことは容易ではなく、列車増発がその手段ということになる。
むろん、東京都交通局も手をこまぬいていた訳ではなく、前述のように増発を繰り返したのだが、増発するには車両の数を増やす必要がある。5両編成の主力車両300形は、開業までに12本が新製されたが、2009年の7~8月には早くも2本を追加増備。同年8月29日のダイヤ改正に備えられた。
ロングシートだと重量オーバーに
300形については開業前、座席をロングシートからバスのような固定式の一方向きシートに交換するという一幕もあった。「ロングシートだとお客が乗り過ぎてしまい、車両の設計上、想定された重量を超えてしまう」という理由が公表されている。
これは前代未聞の措置であったが、2009年製の13本目、14本目は、さらに押し寄せる利用客への対応に苦心した座席配置となった。ロングシートだと利用客が乗りすぎて重量オーバー。しかし、乗せないと混雑は解消されない。
そこで、5両中4両(前後2両ずつ)の乗降扉の間を片側だけロングシートとし、もう片側の一方向きシートを2人掛けから1人掛けとしたのだ。重量オーバーとならずに、どこまで利用客を乗せることができるか。ギリギリの妥協点を探ったかのような「改良」だった。なお、この座席の変更は、既存の12本にも追って施されている。
300形は、2011年9月と11月に15本目と16本目がさらに増備された。同年12月3日ダイヤ改正向けである。そして、2015年10月31日改正へ向けては、新形式330形が用意されている。この車両は、車体をアルミニウム合金製とし、300形より大幅に軽量化することで、重量の問題を解決。座席をロングシートにできた。編成定員も300形の244人に対し262人と増えている。
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