【WRCのために生まれ、姿を消した名車の功績】三菱「ランサーエボリューション」の歴史と、現行モデルに引き継がれる伝統のテクノロジー
ほかにも、第3世代のランエボには、2005年9月にシリーズ初のワゴン車「ランサーエボリューションワゴン」も登場。ランサーワゴンをベースに、ランエボⅨと共通のアグレッシブなフロントスタイルを採用。2.0L・MIVECターボの4G63型エンジンや、電子制御4WDシステムなど、ランエボⅨと同様の動力性能を備えた高性能スポーツワゴンとして注目を集めた。
第4世代:2007~2016年「エンジンを刷新し、S-AWC初採用」
そして、現在のところ、ランエボ最後の世代となっている第4世代。それが2007年に登場した10代目「ランサーエボリューションⅩ」だ。
大きな特徴は、プラットフォーム、エンジン、デザインなどすべてを一新したことだ。とくにエンジンは、従来の4G63型から新たに4B11型に変更。新開発の2.0L・MIVECターボは、最高出力313PSを発揮し(2015年のファイナルエディションの場合)、歴代最高の動力性能を実現した。
また、車両運動統合制御システム「S-AWC」も搭載した。S-AWCとは「Super-All Wheel Control(スーパー・オールホイール・コントロール)」の略。4WDをベースに、4輪の駆動力・制動力を最適に制御することで、路面状況に応じて、すべてのタイヤのグリップ力を最大限に確保する独自技術だ。
なお、この技術は、現在もアウトランダーPHEVやデリカD:5などに採用。まさにランエボⅩを起点とし、今も続く三菱を代表する4WD機構のひとつといえる。
モータースポーツとともに歩み、技術を高めた三菱
WRCなどラリーの最前線で戦うために生まれてきたクルマがランサーエボリューション。同様の歴史を持つ三菱車には、世界一過酷なオフロード競技と呼ばれる「パリ・ダカールラリー(現在のダカールラリー)」で数多くの栄冠を手中にしたSUVモデル「パジェロ」もある。
いずれも、1990年代を中心に、三菱のレース参戦とともに進化し、大きな人気を博したモデルだ。だが、今は、同社のレース活動中止とともに、市販モデルも存在しない。かつて、三菱ブランドを支えたといっても過言ではないモデルたちだけに、寂しい限りだ。
とくにランエボは、SUVブームが続く現在では、なかなか復活は難しいかもしれない。だが、前述のとおり、S-AWCテクノロジーなど、ランエボが築いた技術や知見は、今のモデルにも確実に息づいており、日本をはじめ世界中の道をより安全かつ快適に走ることに貢献する。その意味で、ランサーエボリューションは、三菱はもちろん、日本のクルマを代表する名車の1台といっても過言ではない。
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