米菓トップの亀田製菓が海外ライバルに挑戦状、中国で富裕層狙い《オール投資・注目の会社》
「亀田の柿の種」「ハッピーターン」--。1957年、新潟・亀田町農産加工農業協同組合を母体として設立された亀田製菓は、数々のヒット商品を生み出し、今や国内米菓市場で30%近いシェアを持つトップメーカーだ。ただ、国内の菓子市場は停滞傾向。同社は世界へと目を向け、海外戦略に本腰を入れる。
国内構造改革が一段落 次なる「胃袋」は海外
2000年3月期、亀田製菓は創業以来初の営業赤字(単体ベース、連結では黒字)に陥った。コンビニが普及し、消費者の嗜好が多様化し始めた時期。少品種大量生産から多品種少量生産への移行の波に乗れず、商品数だけが膨らんだ。これを機に組織や製造のムダを洗い出した。06年からは柿の種など収益性の高い定番商品に経営資源を集中。11年からは味が変わらない程度に、商品ごとに使い分けていた調味料を統一化した。
ただ、国内の米菓市場はここ数年、鈍化傾向(年間販売約2500億円)。少子高齢化の影響を受けつつある。やはり、次なる大きな「胃袋」は海外に求めざるをえない。そこで、亀田製菓は現在1%に満たない海外売上高比率を、19年3月期をメドに30%まで引き上げる野心的な目標を掲げた。
重点戦略地域は欧米と新興国だ。北米では、1989年に三菱商事とともに現地のビスケット製造会社TH FOODSに出資。同社は米国人の健康志向を追い風に、コメ原料のクラッカーの売り上げをじわじわと伸ばしてきた。現在、コストコやウォルマートなど大手流通が、ポテトチップスなどの人気商品よりも高い1箱4~5ドルで販売している。類似商品がないことが強みだ。