『べらぼう』蔦屋重三郎になれる人、なれない人/なぜ同じ努力をしても報われなくなったのか、経済学が教える「AI時代の仕事と能力」

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私が『経済学Basics』で、技術革新や外国人労働を同じ枠組みで扱ったのは、AI時代の働き方を理解するためには、流行する技術論よりも、経済学の普遍的な道具が必要だと考えたからである。

「新しいスキルを身に付けろ」という精神論ではなく、自分の仕事が、変化と代替関係にあるのか、補完関係にあるのかを見極める視点を示したかった。

『べらぼう』が描いた蔦屋重三郎は、特別な天才ではない。彼はただ、時代の変化の中で、自分を「代替される側」に置かなかった。

AI時代を生き抜くための地図

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AIは誰かの代わりではない。仕事の前提条件そのものを変える環境の変化である。

その環境の中で、自分の仕事はどこに位置づけられるのか。代替されるのか、補完するのか。

その問いに答えるための地図として、技術革新や外国人労働を同じ経済学の言葉で整理した教科書を書いた。

AI時代を生き抜く戦略は、実は驚くほどシンプルだ。描かされる側にとどまらず、描かせる側に回ること。自分の中に「蔦屋重三郎」を持てるかどうかが、多くの人にとって重要な分かれ目になる。

大竹 文雄 大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授

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おおたけ ふみお / Fumio Otake

1961年京都府生まれ。1983年京都大学経済学部卒業、1985年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年大阪大学経済学部助手、同社会経済研究所教授などを経て、2018年より大阪大学大学院経済学研究科教授。博士(経済学)。専門は労働経済学、行動経済学。2005年日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞、2006年エコノミスト賞(『日本の不平等』日本経済新聞社)、日本経済学会・石川賞、2008年日本学士院賞受賞。著書に『経済学的思考のセンス』『競争と公平感』『競争社会の歩き方』(いずれも中公新書)など。

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