『べらぼう』蔦屋重三郎になれる人、なれない人/なぜ同じ努力をしても報われなくなったのか、経済学が教える「AI時代の仕事と能力」

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大河ドラマ『べらぼう』の主人公・蔦屋重三郎は数々の絵師の才能を開花させた江戸のプロデューサーだった(写真:星野パルフェ/PIXTA)

2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』を見て、強い既視感を覚えた人は少なくないだろう。

江戸の出版人・蔦屋重三郎は、自ら絵を描く絵師ではなかった。しかし、「今の世の中は何を求めているのか」「次はどんな仕掛けが当たるのか」を考え、才能ある絵師を見抜き、仕事を組み立てることで、次々とヒット作を生み出した。

生成AI(人工知能)が急速に普及した現在、私たちは似た状況に置かれている。優秀で、速く、疲れを知らない「実行役」が、突然あらゆる職場に現れた。問題は、努力するかどうかではない。その変化の中で、自分の仕事がどこに位置づけられるのかである。

技術革新を理解する鍵は「代替」と「補完」

私の教科書『経済学Basics』では、技術革新や外国人労働の影響を理解するための基本的な視点として、生産要素の「代替関係」と「補完関係」を紹介している。

代替関係とは、ある要素が増えることで、もう一方の価値が下がる関係である。同じ仕事を、同じようにこなせる存在が増えれば、競争が起きるのは避けられない。

一方、補完関係では、ある要素が増えることで、もう一方の生産性が高まる。役割が異なり、互いの強みがかみ合ったとき、価値はむしろ上がる。

技術革新が人を豊かにも、不安にもするのは、このどちらの関係に置かれるかで決まるのだ。

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