中国本土から「ガチ中華チェーン」が日本上陸→しばらくすると"現地とは別物の味"に変わる残念な事情

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池袋にあったが閉店したガチ中華チェーンの食事(写真:筆者撮影)

2017年前後から、日本人向けにアレンジされていない中華料理「ガチ中華」を出す店が東京近郊で一気に増えた。そうした動きを長年ウォッチしていると、ここ数年は、中国本土でチェーン展開しているブランドが日本に乗り込んでくるケースが目立ってきた。

東京で増える中国チェーン店は、オープン当初こそ「現地の味が食べられる」と話題を集めるものの、しばらくすると「味が変わった」とSNSで指摘される例が少なくない。なぜそんなことが起きるのか。その裏側には、ビジネスとビザと人材をめぐる、「トホホな事情」が潜んでいる。

火鍋、カフェ、マーラータン、内モンゴル料理まで

今から10年前の2015年に日本1号店をオープンさせた四川発の火鍋チェーン店「海底撈」を皮切りに中国のチェーン店の日本進出は進んできた。2018年には中国などで6000店舗以上を展開するマーラータンチェーンの「楊國福」や、世界最多の店舗数を誇るとも言われているファストフード店の「沙県小吃」が相次いで東京に出店した。

コロナ禍になった2020年以降も中国の火鍋チェーン店である「譚鴨血」などが出店し、その後のガチ中華ブームに発展していった。2023年にはドリンクスタンド大手の「蜜雪冰城」やカフェ大手の「Cotti Coffee」も東京でオープンし、今年に入ってからも蘭州牛肉麺チェーン店である「陳記牛肉麺」や「無名縁米粉」、四川発の烤魚が有名な「烤匠」、内モンゴル料理が食べられる「老綏元」など、そのスピードは加速している。

四川発の「烤匠」(写真:筆者撮影)

相次いで中国のチェーン店が日本に進出しているのにはいくつかの理由がある。まず挙げられるのは中国国内の不況の影響だ。不動産不況などによる景気の減速や消費の落ち込みを受け、飲食店チェーンが海外へ活路を求めているのだ。

中国では数年前に「内巻」と呼ばれる過当競争を指す言葉がネットスラングとして流行った。飲食店も同様に激しい価格競争から逃れることで新たな活路を見出すために海外への進出が進んだ。

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