中国本土から「ガチ中華チェーン」が日本上陸→しばらくすると"現地とは別物の味"に変わる残念な事情

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日本だけでなく、中華系人口の多いマレーシアやシンガポール、タイなど東南アジア各国でも、中国系飲食チェーンの進出は加速している。前述の蜜雪冰城や楊國福といったブランドは、すでにアジア各地に拠点を広げ、ヨーロッパにも店舗を構える世界的なチェーンになっている。

(写真:筆者撮影)

日本への出店が増えている背景には、日本で暮らす中国人、とくに留学生や若年層の増加がある。彼らが中国と同じ味を求めることで現地仕様の料理への需要が生まれ、日本在住の中国人だけを主なターゲットにしても、一定の集客が見込めるビジネスになっているのだ。

前述した日本に進出しているチェーン店の多くが池袋や高田馬場、上野などの中国人が多いエリアに集中しており、店に入ると店員や客を含め中国語しか聞こえてこないことも多い。メニューも中国語しか対応していない店なども多く、「中国人向けビジネス」という色合いがはっきりしている。

楊國福はすでにヨーロッパでも多数の店を出店している(写真:楊國福のrednoteのアカウントより)

移住目的の中国人が運営する店も

近年では日本への移住目的で中国人が飲食店を経営するケースも少なくない。中国本国での不況によって中国国内での規制が厳しくなったことで、特に富裕層を中心に中国から海外に移住するケースが増えた。

逃げ出すことを意味する英語の「run」の字と中国語で潤うを意味する「潤」のピンインの読み方が同じであることから、中国から海外に移住することを「潤」と表すようになり、ネットスラングとして流行ったが、その「潤」のためのビザを取る手段として飲食店の経営が採られるようになったのだ。

外国人が日本で飲食店を経営するには、「経営・管理」(いわゆる経営管理ビザ)の取得が必要だ。2025年10月16日の改正以前は、資本金500万円を用意して会社を作れば、比較的取りやすい在留資格と見なされていた。この在留資格を足がかりにガチ中華の店を開き、日本に移り住んだ中国人オーナーも多いというわけだ。上野や池袋のガチ中華店のオーナーに話を聞いてみると、「経営管理ビザで日本に滞在している」と打ち明ける人は少なくない。

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