中国本土から「ガチ中華チェーン」が日本上陸→しばらくすると"現地とは別物の味"に変わる残念な事情

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「中国版Instagram」のRednoteにも経営管理ビザを取得して飲食店を開くノウハウなどが多数公開されている。真偽は不明だが、大阪のタピオカ店のオーナーが「経営管理ビザの取得目的で蜜雪冰城を大阪にオープンしたけど、こんなにお客さんがたくさん来るとは思わなかった」などと投稿していたのを目にしたこともある。

やはり飲食店開業が目的ではなくビザ取得の手段になっているケースはかなり多いのだろう。経営管理ビザの2025年10月の改正によって、資本金が従来の500万円から3000万円に増えたことや、学歴や日本語能力が求められるようになったこともあり、来年以降はこれまでのようなペースでのガチ中華の出店は難しくなっていくと考えられる。

2024年以降になって初の海外進出の出店先に東京が選ばれているケースが目立つ。これは上述した「内巻」と「潤」の合わせ技といったところもあり、中国国内での競争や不況から逃れるべく、新たな市場を求めて海外展開を狙っていきたい中国企業と、経営管理ビザで日本に移住したい中国人のウィンウィンな組み合わせによるものなのだ。実際、日本に進出している中国チェーンの経営者や店で働く中国人に話を聞くと、直営店舗ではなくフランチャイズで経営されているケースが多い。

店のレベルがガクッと下がることも

フランチャイズ経営のガチ中華が増えたときの弊害は高品質な味の維持だろう。中国側の企業にはもちろん「海外で自分たちの店を広げていきたい」という意思があるため、オープン当初は気合い満々で現地からシェフを招聘し、現地で食べられるようなレベルの高い料理が食べられることが多い。

一方で一度オープンしてしまえば日本での経営は日本の運営会社で行われ、現地からのガバナンスが利きにくい状態になる。日本側で経営する中国人はビザ獲得のための手段に飲食店を経営しているにすぎないため、ひとたび料理人が抜けることがあれば店のレベルがガクッと下がることもあるのだ。

筆者も経験したことがあるスープも薄く麺の形も均一ではない蘭州ラーメン。オープンからものの数カ月で閉店してしまった(写真:筆者撮影)

広東省の土鍋ご飯を提供する店を利用した人からは「米が現地で使われている長粒米ではなく、日本米だったことでベタベタした食感でチェーン店の味ではないと思う」という話を聞いたことがある。スタッフのレベルや食材のこだわりの低下によって味のレベルが安定していない状態になってしまうこともある。

このような中国チェーン店のトホホな実情を見てしまうと、味の安定感で言えば飲食店としての経営がしっかりしていて、オーナーが食に対するこだわりを持っている店や、個人経営で店を経営しているガチ中華店に軍配が上がるだろう。

チェーン店だからといって味がいつも同じとは言い切れないのが中国飲食店でもあるので、そのリスクもぜひ頭の片隅に置いておいてほしい。

阿生 ライター

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あしょん / Asheng

東京で中華を食べ歩く会社員兼ライター。大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、ガチ中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内を中心に新しくオープンした中華を食べ歩いている。(X(旧Twitter)公式サイト

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