「帰省したら冷蔵庫をチェック」→「親の異変を察知」は本当だった。ふとした勘は案外当たる。「あれっ」と思うことがあったらメモを

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

Bさんは、近所のクリニックが開く1月6日まで帰省を延ばして、母親を連れていきました。血液検査の結果、異常が判明し、ほどなく入院となりました。

実は、Bさんの母親は、その後、夏を待たずに死亡。「もっと早く気付くべきでした。でも、電話のようすは普通だったし、わからなかった。あそこまで具合が悪くなっていても、連絡してくれないなんて……。私に心配をかけたくないとの思いが強かったのですね」とBさんは肩を落とします。

「あれっ」と思うことがあったらメモを

AさんとBさんのケースでは、どちらも実家の冷蔵庫から親の異変に気づきました。

もちろん冷蔵庫を見るだけで体調異変やその予兆を知ることができるわけではありません。しかし、冷蔵庫は心身機能低下のサインが出やすい場所だといえるでしょう。買い物や食事の起点であり、日に何回も利用する場。コンパクトなスペースなので、整理整頓が必要だからです。

トイレや浴室などの水回りに異変が現れるケースもあります。掃除がいいかげんになり、汚れが目立ったり、「臭いが発生していた」という声を聞くこともあります。

親が着ている洋服もチェックポイントとなります。季節感のおかしな衣類を着ていたり、汚れたままなどだらしなくなっていたりすると、体調が良くないのかもしれません。

異変といえるほどのものでなくても、「あれっ」と思うことがあれば、日付とその内容をメモ書きしておくといいでしょう。以下はメモの例です。

2025年12月31日
冷蔵庫に卵が30個入っている
2026年1月1日
元旦はいつも早起きの母親が昼前まで起きてこない

こういう気づきは案外、的を射ているものです。会ったときだけではなく、電話での会話から異変を拾えるケースもあります。

2025年11月29日
電話で、母親が亡くなった父のことを話しながら泣き出した

このようなメモが積み重なれば、「あれっ」は確信に変わっていきます。さらにメモがあれば、受診したり、地域包括支援センターに相談したりするときに、これまでの経過を正しく説明することができます。

結果、より適切な診断やアドバイスをもらえ、治療や介護サービスを選択する際に必ず役立つでしょう。

太田 差惠子 介護・暮らしジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおた さえこ / Seko Ota

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。「遠距離介護」「高齢者住宅」「仕事と介護の両立」などの情報を発信。AFP(日本FP協会)の資格も持ち「介護とお金」にも詳しい。一方、1996年遠距離介護の情報交換場のNPO法人を立ち上げて子世代支援(~2023)。

著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第4版』『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第3版』(以上翔泳社)『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版)『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門第2版』(共著,KADOKAWA)など。

https://www.ota-saeko.com/

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事