別業界にいた3兄弟が合流、老舗レース店『近沢レース店』大化けの裏側 30~40代女性を中心に大ヒットしたのはなぜ?

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最初の1年は直営店や催事、生産現場を徹底的にまわり、全国の様子や生産背景を把握することに徹した。

「男3兄弟ではあったが、子どもの頃からレースは身近にあったし、長年慣れ親しんできた。外でバイトをするなら家業を手伝えと言われ、販売や物流倉庫で荷出しなどのアルバイトで現場にも入ってきた。しかし、実際に入社してみると、『なぜこれをうちが取り扱っているんだろう』『誰に向けた商品なんだろう』という疑問が次々浮かび上がってきた」(近澤社長)という。

近沢レース店元町本店の店内
近沢レース店元町本店の店内。※写真の商品は一部販売終了しています(撮影:梅谷秀司)

商品的な問題、販路の問題、経営的観点での構造的問題――。現場を一通り把握したのち、浮かび上がった問題を解決すべく、2009年から本格的に経営企画の業務を開始。2009年は3男が入社し、兄弟3人が揃ったタイミングでもあった。

レースの歴史を誰も答えられなかった…

「私たち3人って、誰一人あまり突出していないんですよ。足りないところをお互い補い合っている感覚。特に自分は今は社長(2024年5月就任)ですが、できないことを無理してやろうとするタイプではないし、得意分野がそれぞれ違うのも大きい」(近澤社長)

それぞれ得意分野が異なり、補完し合う体制を作った。長男の匡祐氏が経営全般とブランディング、次男が営業全般、3男が商品企画・物流・システムの担当だ。

「まずは、『レース屋になろう』と思った。社員もみんな自社で取り扱っている範疇についてはものすごく詳しい。型番から昔の価格まですべて頭に入っている。しかし、古株の従業員に聞いても、レースの歴史を誰も答えられない。レースがいつ始まったか、誰が作ったのか。売れる、売れないではなく、レースについての素朴な疑問に答えられる人が誰もいなかった」(近澤社長)

「Oh,no!クマさん」と「いくら」
「Oh,no!クマさん」と「いくら」。2023年秋に“食欲の秋”をテーマに発売された。※写真の商品は完売しています(撮影:梅谷秀司)

まずは徹底的にレースを知ることで、商品の見直しを行うことからスタートした。同時に構造的問題や販路開拓にも取り掛かる。

「入社して思ったのは、当時の近沢レース店はかなり粗利を重視して、営業利益をあまり考えていないのではないかということ。今とは時代も環境も違うので一概には比較できないが、昔の中小企業の経営は、いかに手広く出店しているか、売上のボリュームがどれくらいあるかが重視されていた」(近澤社長)

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