長期金利(新発10年債利回り)が2.02%に上昇、2%に達したのは2006年5月以来-日銀の利上げと財政拡張を懸念

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(写真:ブルームバーグ)

長期金利は2006年に2%を付けた後、リーマン・ショックを経て物価が継続的に下落するデフレに突入したため、長らく同水準を下回っていた。恒常的に2%を上回っていたのは1990年代までさかのぼる。長期金利の上昇は金融機関が提供する住宅ローンなど民間の経済活動に幅広く影響を及ぼすほか、政府の財政資金調達コストを引き上げ、財政赤字の拡大要因にもなる。

植田日銀総裁は4日の国会答弁で、景気を熱しも冷ましもしない中立金利について、水準の推計にはかなり広い幅があるとし、常に狭める作業を続けていると説明。その上で「今後うまくそういうことができたら適宜公表していきたい」と語った。 

りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、日銀が中立金利の推計値を引き上げれば利上げ到達点も切り上がるため、「10年債利回りも2%では足りないと市場が思い始めている」可能性を指摘する。中立金利は日銀の従来の推計で1-2.5%に分布しており、利上げ到達点は下限の1%程度との見方が市場では強かった。

財政

金利上昇の背景には財政拡張への警戒感もある。共同通信は16日、26年度予算案の一般会計の歳出総額が120兆円を超え、2年連続で過去最大を更新する見通しと報じた。同日成立した25年度補正予算の歳出総額は新型コロナウイルス禍後で最大となった。

ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、金利上昇を止める材料が見当たらず、債券市場が壊れてきており、「金融当局が警告を発する段階に入っている」と語る。日銀は機動的な国債買い入れ、財務省は既発債の買い入れ消却などを検討している可能性があると言う。

マーケットコンシェルジュの上野泰也代表はリポートで、90年代から00年代は長期金利について「2%の壁」とよく言われたと振り返る。同氏によると、10年債の表面利率が2%を上回ったのは98年2月が最後。今回の金利上昇局面で「新たに発行される10年債の表面利率が2%以下に収まるかどうかが大きな焦点になる」との見方を示した。

著者:日高正裕、山中英典

ブルームバーグ
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