自動運転はレースで人間を超えられるのか。無人フォーミュラ「A2RL」2年目の進化と、AI同士が生んだ予想外のドラマ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2024年のA2RL参戦マシン
2024年のA2RL参戦マシン(写真:A2RL)

自動運転用AIは「走行経験」というデータを与えれば与えるほど、それを学習し、次の走行に役立てていく。しかし第1回のレース時点では、参加したチームにとって事前の走行機会が少なかっただけでなく、競技規則に則り、他の車と接触せずに走行し、状況に応じて前のマシンを追い越したり、逆に追い越されたりする際のマシンの操縦の仕方などを最初からプログラミングする時間が足りていなかった。

ただ、それでも第1回のA2RLのレースは世界的に注目された。グランドスタンドを埋め尽くす観客が無人で走るフォーミュラカーのドラマチックな追い越しに興奮し、インターネット配信によって自動運転レースの存在が世界に知れわたったことで、A2RLの2年目に対する期待感も自然に高まることになった。

鈴鹿サーキットでファンにお披露目

A2RLは2024年11月に鈴鹿サーキットで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権レースで、自動運転によるデモンストレーション走行を行った。

実は、A2RLは日本との関係が深い。このレースに用いられるマシン「EAV24」は、日本の最高峰フォーミュラカーレースである「全日本スーパーフォーミュラ選手権」用のレースカー「SF23」を改造してAIコンピューターや自動運転用のセンサー類を搭載したものであり、同選手権を主催する日本レースプロモーション(JRP)が、マシン供給で協力しているからだ。

A2RLの日本初上陸となったこのイベントにはモータースポーツファンが多数観戦に訪れていた。そんななか、11月10日には2台のA2RLマシンが登場して、アブダビでの第1回レースから格段に進歩したスムーズな走りを披露した。

Super Formula
無人のマシンが鈴鹿サーキットを疾走(写真:Super Formula)

ASPIREのステファン・ティンパノCEOはこの日の会見で、A2RLを「観客の皆さんに知ってもらえて光栄だった」と述べた。さらにデモンストレーション走行に先立ち、JRPと鈴鹿サーキットの協力で数週間の事前テストができたことに関して、「初めてのサーキットでテストやレースを行うための段取りを組み立てる経験が積めた」とし、「鈴鹿のような伝統的なサーキットに我々を迎え入れてくれたことに非常に感謝している」と語った。

次ページ予選には日本からの新規参戦チームも
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事