人気メニューは「ヒグマvs月の輪熊 対決鍋」東京・人形町のジビエ料理店の店主が語る、"クマ肉の滋味"と"過酷な現場"

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ジビエ食材の仕入れはどのようなルートで行うのか。

「牛肉・豚肉・鶏肉とは異なり大規模な流通ルートがなく、食肉処理場の許可を受けた中小の食肉加工会社から仕入れます。各地の業者さんと取り引きしていますが、北海道はヒグマやエゾシカ、九州や中国地方は穴熊が多いといった特徴があります」

あまから くまから
こちらは「穴熊の角煮」 (写真:「あまから くまから」)

2023年には店で提供したヒグマ肉の炭火焼きが「OSO18」だったことも。

OSO18は北海道東部で2019年から2023年にかけて酪農家の家畜を次々に襲撃した雄ヒグマ(のコードネーム)で、後に駆除された。人的被害はなかったが木の実や果物を食べるはずのクマの習性が変わり、熊害(ゆうがい)深刻化の象徴として社会問題となった。

「北海道の長年付き合いのある業者さんから仕入れた肉で、その後『DNA鑑定でOSO18と判明した』と連絡が入りました。人を襲ったクマではないとはいえ、ドキッとしたのを覚えています。反響は大きく炭火焼きにした内モモは完売。肉質も柔らかいと好評でした」

林氏はアイヌ関係者とも交流があり、「イオマンテ」(アイヌの儀礼、ヒグマなどの魂を神の国に送り届ける)のような文化も尊重している。

「OSO18の肉は付き合いがある、阿寒アイヌコンサルンの 廣野洋理事長にお清めをしていただいた後、カムイオハウ(熊鍋)として1人前7800円で提供しました」

ジビエがおいしいと思った最初は「イノシシ肉」

林氏の横顔も紹介しよう。大学時代は飲食店中心のアルバイトをしており、卒業後も飲食業界に進み、雇われ店長となる。その後に独立して飲食会社を経営。料理は大手ピザチェーンのFC(フランチャイズチェーン)店運営時に覚え、調理師免許を取得したという。

ところで、なぜジビエを提供するようになったのか。

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