認知症リスク4割減、医療費・介護費用を削減…メリットが注目される高齢者のペット飼育に潜む"負の側面"――獣医師が語る残酷な現実とは
個人の健康増進は、さらに日本社会全体にも好影響を与えます。ペット飼育は医療費や介護費用の削減につながる可能性を持っています。
現在の日本は、現役世代3.6人で1人の後期高齢者を支える超高齢社会に突入しており、社会保障費の増加は深刻な社会問題です。高齢者人口の増加は今後も進むため、社会保障費の負担は一層重くなるのが確実です。
ペット飼育が社会保障費の圧縮に貢献するのであれば、ペットを飼育しやすい社会を創ることが、持続可能な社会づくりに有用であるといえます。
ペット飼育と社会保障費の関係について検討した研究は数多くあります。
たとえば、海外の研究で、心臓疾患を持つ高齢者がペットを飼うことで、通院回数や病院への再入院が減少する可能性が示唆されています(Friedmann et al. 1995)。
国内では、ペット飼育者とペット非飼育者合わせて460人(平均年齢77.7歳±4.6歳)を対象に、医療費および介護保険サービス利用費の差異を調べた結果、医療費については差が見られなかったものの、介護保険サービス利用費は、ペット飼育者よりもペットを飼育していない人のほうが2.3倍多かったという結果になりました(Taniguchi, et al. 2023)。
これらの結果は、ペット飼育が医療費や介護費用を削減する可能性を示しています。
社会への影響という意味では、高齢者のペット飼育は、経済にも大きな影響があります。
ペット飼育にはお金がかかります。ペットを飼うことで、高齢者の支出が増え、消費活動により積極的に参加し、社会を活気づけることにつながります。
こうしたメリットを考えれば、幸福な社会の実現のために、ペット業界だけでなく、行政の政策として高齢者のペット飼育を推進してもよさそうなものですが、現実はそう簡単な話ではありません。
入院患者の犬が無人の家に
高齢者がペットを飼うことは、メリットだけでなく、大きなリスクも抱えます。それを理解してもらうために、私が日常的に体験している事例を1つ紹介します。
「患者さんの犬が、無人の家に取り残されています。もう1週間になります。どうにかなりませんか? ミニチュアダックスフントです」



















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