サムスンを迎え撃つ半導体製造大手・台湾TSMC3つの作戦
第三は、反サムスンの機運に乗じた顧客との関係強化である。それは半導体にとどまらず、関連する産業の川上から川下まであらゆる企業に及ぶ。
張会長は、世界で反サムスン企業が増えているとはっきりと感じている。サムスンと競合関係にある企業を味方につければ、サムスンに対抗できる力を必ず発揮するはずだ。
サムスンは部品を供給する一方で、その部品を使った最終製品を販売している。ソニーやアップルに部品を販売しつつ、こうした企業のライバル製品を造っているのだ。
グラフィック製品に強みを持つ米NVIDIA社の黄仁勲CEOは、最近、同社のチップの出荷予測を下方修正した。主因はサムスンからの発注減少だ。黄COEは「サムスンは明らかにアップルとの提携の中から一部のものを学び取っており、このためにNVIDIAへの発注を減らした」とまで述べている。もっとも黄CEOは、TSMC製品の歩留まりが予測を下回っており、このためNVIDIAがチップの供給不足に直面しているとも語った。
NVIDIAはTSMCの大口取引先5社の一つだ。NVIDIAは現在、ウエハ製造をサムスンに発注していない。これはアップルが直面したように、サムスンが技術を学び取って直接競合する製品を出してくるのを警戒してのことだ。
サムスン撃退のため、TSMCは攻勢をかけ始めた。川上のウエハ製造から、川中、川下のフィールドに足を踏み入れ、台湾と韓国の間のハイテク防衛戦を戦おうとしている。
(台湾『今周刊』 No.799/林 宏文記者 =週刊東洋経済2012年5月26日号)
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