サムスンを迎え撃つ半導体製造大手・台湾TSMC3つの作戦

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


第一は、メモリの強化である。サムスンはすでにDRAMとフラッシュメモリで世界の覇者となっている。これに対抗するため、TSMCは顧客から受注する際、メモリとセットで出荷するという方式を採用する。これにより、米アップルの「A6チップ」を受注するうえで優位に立つ戦略だ。

アップルからの受注のため、TSMCはメモリ分野に参入することを決めた。しかも、最も難しく、最も優れたメモリを作ることで、サムスンの得意分野に切り込もうというのである。

第二は、半導体の密度の高集積化である。半導体ではムーアの法則(集積回路〈IC〉上のトランジスタ数は18カ月ごとに2倍になる)が知られており、高集積化はすでに限界との見方もあるが、能力アップは可能だと見ている。

TSMCでは、ロジックチップとメモリをシリコンインターポーザーに置き、そのうえで基板上にパッケージングすることで高集積化を実現しようとしている。つまり、1個のICをパッケージングするのではなく、多くのICを一つにパッケージングし、容量を高めて、コストも引き下げるのだ。

これは、日月光(ASE)やセキ品精密工業(Siliconware Precision)などの大手が従事しているパッケージング分野に、TSMCが参入することを意味する。この参入は従来のIT分野の分業体制に大きな変化をもたらすものとなる。

関係筋によると、日月光、セキ品精密などがハイエンドのパッケージングに投資をしようとしないのは、これを利用するほどのハイエンドの取引先があまりないことが原因だという。パッケージングの専門企業がやらなくても、攻めに出ているTSMCとしては自社でやるだけである。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事