｢頭の良さ｣に価値はない。AI時代､人間に残された｢3+1｣の仕事とは何か

この「経験知・決断・レビュー」に「フィジカル」を掛け合わせた3+1の価値こそが、AI時代においても人間が担う「仕事」の本質であると私は考えています。

なぜなら、この3+1の価値こそが、AI時代における仕事の質を支える要素と言えるからです。それぞれ詳しく説明していきます。

経験知：AIの成果に「あなただけの視点」を与える

1つ目は「経験知」です。経験値に似ていますが、ここでは「自らの経験や行動に基づいた、AIが知らない知識・知見」と定義します。

なぜ経験知が重要なのか？

それは、AIがすべての知識をもっているわけではないし、またAIが知見をもっていても、人間がそれを引き出せなければ意味がないからです。

たとえば、あるプロダクトの営業資料をAIに作らせたとします。機能の説明や市場トレンド、競合比較といった「公開情報ベース」の内容は、それなりに整って出てくるでしょう。

しかし、顧客に何を伝えるべきか、どのメッセージで惹きつけるべきか、見せないほうがよい情報はないか、そういった、リアルな顧客に求められているものを、AIは把握できません。

それらは、人間がAIに指示したり、インプットしたりする必要があります。それを怠った結果として、「構成はきれいだけれど、どこにも刺さらない営業資料」が出来上がります。

「AIで作ったものは品質が低くて、仕事では使えない」といった意見は、このように、経験知に基づく指示やインプットの不足からきていることが大半です。