1400億円が紙くずになった事例も…金融機関が富裕層に積極的に売り込んでいる「CoCo債」って? 思わぬ"落とし穴"を資産運用のプロが暴露
実際、私のあるクライアントが、某国内証券会社で2024年前半に3億円分買ったドル建ての債券では、わずか半年で2500万円もの評価損が出ていました。
為替や金利は買った時点とさほど変わっていませんでしたから、7~8%程度は手数料を抜かれていて、その分が評価損になっていたのではないかと考えられます。
かなりあこぎな商売をしているな、と言わざるを得ないでしょう。
過去のトラブルから教訓を学ぼう
クレディ・スイスのAT1債ショックは、富裕層の投資家に多くの教訓を残しました。この出来事から学べるポイントを簡単に整理しておきましょう。
当時のクレディ・スイスは、世界的な大手名門銀行でした。そこが発行する債券というだけで、「安全そうだ」と判断してしまった投資家もいたはずです。
しかし、いかに発行体にブランド力があっても、個別の商品に内在する条項(この場合はAT1債の減損条項)がすべてです。「○○銀行だから大丈夫」といった思い込みは禁物です。
富裕層向けの限定商品であっても、契約締結前交付書面や目論見書は法律上、必ず用意されています。専門的な内容で読むのは大変ですが、重要事項が漏れなく記載されている資料です。
クレディ・スイスのAT1債の説明資料にも「一定条件下で、元本がカットされる可能性」が書かれていました。
この事件では、金融機関の営業員がどこまでリスクを説明していたかが問題になりましたが、営業員に頼らず、また彼らの言うことを鵜呑みにもせず、自分でも資料を読み込んでリスクをしっかり把握することが必要です。


















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