1400億円が紙くずになった事例も…金融機関が富裕層に積極的に売り込んでいる「CoCo債」って? 思わぬ"落とし穴"を資産運用のプロが暴露
しかし、実はふつうの社債とは異次元のリスクがある商品だったわけです。
クレディ・スイスのAT1債ショックのあと、国内証券各社も顧客への説明を迫られました。「想定外でした」と釈明する向きもありましたが、プロとしては本来想定しておくべきリスクでしたし、顧客にもそのリスクを説明するのが当然です。
また、商品を提案する場合、その顧客のリスク許容度やポートフォリオに鑑みて、「適正な商品や金額」を提案すべきです。契約が決まったときに得られる高い手数料に目がくらみ、安易にリスク商品を売ることは決して許されることではありません。
債券の売買に手数料がかからないのは“当たり前”
金融庁からの実質的な指導により、2023年頃からEB債をはじめとする仕組債の販売に制限がかかるようになってからは、日本の金融機関はこのCoCo債やその他の劣後債、さらに、償還までの期間が長い超・長期債を富裕層に売りたがっていますので、要注意です。
こうした債券を売ろうとするとき、金融機関の営業員は「債券なので、手数料はかかりません」というセールスをする場合があります。
しかし、これは明らかな詭弁です!
確かに、株式の委託手数料や投資信託の購入時手数料のように手数料が外枠でかかることはありませんが、なんのことはない、「手数料は内包」されているだけです。
債券にはあらかじめ定められた手数料はなく、金融機関が仕入れた価格に手数料相当分を乗せた価格で販売するのが通常だからです。
CoCo債や劣後債、超・長期債は流動性が低く、市場での適正価格がわかりづらい商品です。しかも、CoCo債や劣後債は通常の債券よりもリスクが高いので、その分、利回りが高くなります。
こうした「市場での適正価格がわかりづらく、しかも利回りが高い」特徴は、金融機関側からすると好都合です。
つまり、少々高い手数料を乗せて販売しても、顧客にある程度の利回りは提供できますし、富裕層と言えども、いくら「抜かれている」のかはなかなか把握できないからです(手数料を乗せることを、業界用語で「抜く」と言います)。
しかも富裕層は買う金額が大きくなりがち。仮に1億円を販売したとして、5%抜けば500万円、10%なら1000万円の手数料を一発で稼げます。


















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