宿敵ソニー・パナソニックが有機ELで提携、次世代パネル競争の勝算
宿敵同士が連携──。薄型テレビ3位のソニーと同4位のパナソニックが、次世代パネルとして有力視される有機EL事業で提携交渉を進めている。交渉を主導するソニーは他の日本企業へも働きかけており、官を巻き込んだ“日の丸連合”形成の可能性がある。
両社は「2015年までに有機ELパネルの事業化を目指す」としてきた。が、競合の韓国サムスン電子やLGエレクトロニクスは今年末までに55型の有機ELテレビを投入する予定と、差をつけられている。
往年のライバルが歩み寄ろうとする背景にはテレビ事業の大失敗がある。パナソニックは05年以降、国内のパネル工場に巨費を投じてきた。だが、急速な価格下落によってテレビ事業はジリ貧状態に。12年3月期決算で7721億円という過去最悪の赤字を計上したパナソニックの大坪文雄社長は、「結果として過剰投資になった」と認める。ソニーも8期連続でテレビ事業の赤字が続く。
有機ELで同じ轍を踏まないためには、単独での巨額投資は避けたい。ソニーは一年近く前から、台湾の液晶パネル大手AUOと有機EL分野で提携に向けて交渉中。パネル基板の生産をAUOが一手に引き受ける方向で調整している。一方、パナソニックもソニーとの交渉と並行して台湾勢を中心に有機ELパネルの調達先探しに奔走してきた。ソニー─AUO連合との提携は有力な選択肢である。
サムスンの背中追う
有機ELで先行するサムスンは、日本勢が液晶やプラズマに傾注した00年代半ばに、有機ELにも投資を進めて日本人技術者を引き抜いた。07年ごろから小型パネルの量産を開始している。その後を追ったのがLGであり、AUOである。その2社も「LGはかろうじて製品化したレベルで歩留まりは悪く、AUOはまったく追いついていない」(関係筋)のが現状だ。