初飛行のMRJ、1年半後の納入に間に合うか すでに407機を受注、初号機はANAへ納入

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試験飛行を終えたパイロットら。拍手で迎えられた(撮影:尾形文繁)

MRJは空気抵抗を極力抑えた機体設計や最新鋭エンジンの採用で、従来の同型ジェット機と比較して燃費性能が20%以上向上するなど、「次世代機」としての前評判は高い。すでにANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)や米大手リージョナルエアラインから計407機の受注を獲得している。初号機はANAに引き渡され、納入時期は2017年4~6月を予定している。

今後2500時間に及ぶテストを実施

もっとも、初飛行を終えたとはいえ飛行試験がようやく始まったにすぎない。航空各社に納入するには、国の航空当局による認証(型式証明)を得る必要があり、これが最大の関門となる。そのため、これから1年半かけて主に米国で1500回、2500時間に及ぶ飛行、離発着テストを行い、機体設計の安全性を徹底的に検証する。

2008年に開発が正式決定したMRJの初飛行は当初、2011年が予定されていた。それが設計変更や安全性の入念な見直しなどで、開発スケジュールの度重なる変更に見舞われた。

ようやく今年10月下旬に初飛行が決まったものの、急きょ尾翼の方向舵を操作するペダルを改修することになり、2週間の延期となっていた。ロールアウト(完成披露)式典を開催してから約1年、慎重の上にも慎重を重ねてきた初飛行までの過程は、航空機開発の産みの苦しみがいかに大きいものかを表している。

しかし、初号機納入まですでに2年を切った。受注に対応するために生産体制の構築も同時並行で進める必要がある。今後はMRJビジネスの早期軌道化に向け、スケジュールをにらみながら慎重かつ迅速に開発と量産化を同時並行で進めなければならない。産みの苦しみはこれからが本番だ。

山本 直樹 東洋経済 記者

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やまもと なおき / Naoki Yamamoto

『オール投資』、『会社四季報』などを経て、現在は『週刊東洋経済』編集部。

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