「下着姿、撮らせてあげなよ」最悪の"いじめっ子"中学2年生女子に迫る「最恐の復讐者」の正体 『子供部屋同盟』6章⑤

✎ 1〜 ✎ 23 ✎ 24 ✎ 25 ✎ 26
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
芥川賞作家✕東洋経済オンラインの「異色コラボ」連載小説!
「子供部屋おじさん」が、あなたの復讐、請け負います。
パワハラ、詐欺、痴漢冤罪(えんざい)、書店万引き――。裁かれぬ現代社会の悪を、人知れず断罪する者たちがいた。ダークウェブに潜む謎の復讐代行組織「子供部屋同盟」。
社会から疎外された「子供部屋おじさん」たちが、その特異なスキルを武器に、歪んだ正義を執行する。
芥川賞作家・高橋弘希が放つ痛快無比の世直しエンタメ『子供部屋同盟』より、第6章を6日に分けて毎日お届けします(今回は5日目)。

雑木林の道の先

七月十日の午後七時、奈央は駅前の商業施設から、自宅へと向かって歩いていた。夜になっても気温があまり下がらず、歩いているだけでも背中に汗が滲む。アスファルトが熱を持っているんだろうと思う。

子供部屋同盟
『子供部屋同盟』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

背中の汗とは別に、額には熱くも冷たくもない水滴のような汗が噴いていた。もう子供テレビは放映されているんだろうか。わたしの姿は映されているんだろうか。駅から離れるにつれて、人の姿は疎らになり、街路を歩く人は奈央だけになる。

やがて奈央は、雑木林の道へと差し掛かる。駅から自宅までのどこかで人殺しをするならば、この通りが最も適していると思う。

雑木林の道の先は、緩やかなカーブになっている。一本の街路灯があり、夜闇の中で蛍光灯が点いたり消えたりを繰り返している。

奈央はその街路灯へ向かって、雑木林の道を歩き始める。途端にひんやりとした空気が辺りに漂い、背中の汗は乾いていく。日中も日が差さないから、アスファルトが冷たいままなのだ。一方で額の汗は、するすると頬を滴り落ちていく。

道の左手は、草木が生い茂って鬱蒼としている。道の右手は、竹藪になっている。竹藪の側はなだらかな上り傾斜で、地元の人からは天狗山などと呼ばれている。

次ページ後をつけてくる背広の男
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事