「下着姿、撮らせてあげなよ」最悪の"いじめっ子"中学2年生女子に迫る「最恐の復讐者」の正体 『子供部屋同盟』6章⑤

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まるで殴られたかのように、ふらふらと何歩かあとずさっていく。そして男児が泣きごとをもらすように言う。

「ひ、ひどいよぉ、嘘をつくなんてひどいよぉ……。僕は奈央のこと信じてたのに、やる気も殺る気も満々で今夜を楽しみにしてたのに……。僕を騙すなんて、ひどいよぉ……」

よく見ると、タイソン二世は顔の上に、人の形の皮を被っているようだった。月明かりの下で、そのずれた皮を不器用に直すと、背広のボタンに向かって言う。

「し、し、し、執行猶予となります」

そう呟き、うなだれて、とぼとぼと草地を歩いていく。

奈央はトタン壁に手をついてどうにか立ち上がり、ワイシャツの袖で口元を拭った。

タイソン二世のうしろ姿はゆっくりと遠のいていき、最後にはふっと暗闇へ紛れた。

捏造された動機は、本当の動機

     *

──こんにちは、ジョン・万次郎です。

──通信部への接続がないようなので、DMにて失礼します。

──えぇ、我々はあなたの動機の一部が、捏造されていることに気づいていました。しかし捏造された動機は、本当の動機で、あなたの死にたいという願いも、本当のものだと判断しました。

──でもどうやら、我々の判断は間違っていたようですね。

──タイソン二世が執行をしくじるなんていう結果が、図らずもその証明となるでしょう。

──今回の案件はこれにて終了させていただきます。本当なのに虚構という物語みたいなレポートに、同盟はたいへん満足しています。

──もしまた死にたくなりましたら、ぜひ子供部屋同盟へご連絡ください。

──いつでもタイソン二世を向かわせますので。

高橋 弘希 小説家

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たかはし ひろき / Hiroki Takahashi

小説家。青森県十和田市生まれ。2014年、『指の骨』で第46回新潮新人賞を受賞。2017年、『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』で第39回野間文芸新人賞を受賞。2018年、『送り火』で第159回芥川賞を受賞。他の作品に『朝顔の日』『スイミングスクール』『高橋弘希の徒然日記』『音楽が鳴りやんだら』などがある。

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