「食後血糖値がカギ」腎臓寿命を延ばすための"簡単な糖質対策"4選→食後の血糖値上昇をゆるやかにする方法

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〈糖質対策の工夫③〉「野菜から食べる」よりも「ゆっくり食べる」

近年、ごはんよりも野菜を先に食べる「ベジファースト」が一般の方々にもだいぶ浸透してきました。そのほうが血糖値が上がりにくくて体にいいというわけですね。

しかし、このベジファースト、早食いをしてしまってはほとんど意味がないのです。食事を10分くらいでササッと済ませてしまうと、野菜を先に食べてもすぐに胃の中で他の食べ物と混ざってしまいます。それだと血糖値への効果がほとんど期待できなくなってしまうのです。

だから、食後の血糖値上昇をゆるやかにしたいなら、まずは「ゆっくり食べる」ことを心がけてください。食事時間はトータル30~40分が目安

一口一口よく噛んでゆっくり食べていると、血糖値上昇が抑えられるのはもちろん、満腹感を得られやすくなって食べすぎを防ぐことにもつながります。ぜひみなさんも「スロー・ファースト」を最優先にして、「野菜→肉や魚→ごはん」の順で食べるようにしてみてはいかがでしょう。

〈糖質対策の工夫④〉ネバネバ系の水溶性食物繊維を活用する

ごはんやパンの摂取量を控えめにしたら、その代わりにたっぷり増やしてほしいのが野菜や海藻、きのこなどの食物繊維です。ご存じの方も多いと思いますが、こうした食物繊維には食後の血糖値上昇をゆるやかにする働きがあるのです。

食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」とがあり、とりわけ後者の水溶性食物繊維は胃腸内に長くとどまり、余分な糖質を吸着して血糖値上昇を抑える作用をハイレベルで発揮するとされています。

水溶性食物繊維は、納豆、オクラ、ヤマイモ、なめこ、きくらげ、もずく、めかぶ、ワカメなどに豊富です。すなわち、こういったネバネバ系の野菜や海藻、きのこたちが食後血糖値の上昇をゆるやかにするのに大いに力を発揮してくれるということ。ぜひ積極摂取して糖質コントロールに役立てていくようにしてください。

糖質を工夫して摂る習慣が腎臓寿命を延ばす

なお、これらの食べ方の工夫は腎機能低下が気になる人はもちろん、まださほど低下していない人や何も問題がない人にとっても、健康の維持や改善のために大いに役立つはずです。ですから、みなさんぜひ早めの段階からこれらを実践して習慣化していくようにしてください。

きっとその習慣はみなさんの腎臓寿命を延ばすことにつながるはず。そしてそれは、みなさんが人生を健康に生きられる時間を延ばすことにもつながっていくはずです。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長、東北大学大学院障害科学専攻長、同先進統合腎臓科学教授を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2011~2021年日本腎臓リハビリテーション学会理事長、2020より国際腎臓リハビリテーション学会理事長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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