【産業天気図・銀行業】07年度後半・08年度前半とも「曇り」に。サブプライム問題余波も気がかり
銀行各社は第1四半期の業績は伸び悩んでおり、期初に立てた業績予想の達成は微妙な状況になってきた。米国のサブプラムローン(信用力の低い住宅ローン)問題の余波も気になるところで、2007年度後半は「曇り」に変更する。08年度前半も好転の材料が見当たらず「曇り」。
大手銀行の第1四半期業績の通期予想に対する進捗率でみると、会社によって明暗が分かれた。りそなホールディングス<8308>は、傘下4銀行合算ベースの実勢業務純益で、対上期予想比の進捗率が53・9%。三井トラスト・ホールディングス<8309>も傘下2行合算の実勢業務純益ベースで進捗率(上期予想比)が56・7%と好調だった。りそなは債券関係損益が改善したほか、三井トラストは利ザヤの改善と株式投信の運用が好調だった。
一方、暗転したのがみずほフィナンシャルグループ<8411>や住友信託銀行<8403>。みずほはJALやグッドウィル向け融資の引当金積み増しで不良債権処理費用も膨らんだ。住友信託は市場運用部門が不調で、計画に届かなかった。第1四半期の業績を受け、銀行株は全般的に冴えない。
欧米発のサブプライム問題の行方も気がかりだ。各銀行、グループとも、サブプライム関連の投融資残高、評価損などを公表している。三菱UFJフィナンシャルグループ<8306>は、7月末時点で保有する証券化商品のうち、サブプライム該当部分は約2800億円と邦銀で最大規模。このうち評価損は7月末時点で約50億円程度と見込んでおり、今のところ今期業績に与える影響は軽微だ。みずほフィナンシャルグループも、米国のサブプライム関連住宅ローンを原資産とする証券化商品(RMBS、CDO)への投資が6月末時点で約500億円程度。そのほどんどはトリプルA格の資産で、7月末時点でその大部分を売却済みとしている(売却損は約6億円)。三井住友フィナンシャルグループ<8316>も、傘下の三井住友銀行が今第1四半期にリスク削減の観点から証券化証券約3500億円を売却し(売却損は数十億円)、6月末時点の残高は1000億円程度としている。各グループとも現時点では業績に与える影響は限定的としているが、問題の進展次第では、追加の損失が発生する可能性もある。今後も注意が必要だ。
【山田 徹也記者】
(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部
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