エルメス初代バーキンも落札、ファッション感度の高い観光客が日本で探し求めているのは伝統的な土産品ではなく、中古デザイナーズバッグだった
エルメスが、英仏で活躍した歌手で俳優の故ジェーン・バーキンさんのために制作したオリジナルの「バーキンバッグ」第一号を、約1010万ドルで落札。バッグとしてはオークションでの最高額を記録した。この価格はバリュエンスの前期の営業利益とほぼ同水準だった。
代表取締役の嵜本晋輔氏は「3年前や5年前なら、私自身が恐らくオークションに参加することを決められなかった」とブルームバーグの取材で語った。バッグを落札できる余裕が生まれた理由について、過去数年間の事業の成長と為替変動を挙げる。「より円安に振れる方が間違いなく大きな恩恵を受けられる」と言う。
ALLUの店舗から徒歩5分の距離にはヴィンテージショップ「AMORE Vintage」がある。店内には華やかな色合いのシャネルのヴィンテージ品が並ぶ。顧客には、米ラッパーのケンドリック・ラマーや英国出身のポップスター、デュア・リパなどが名を連ね、セレブたちのサインが店内の壁を彩っている。
AMOREのブランドディレクターの板倉凌子氏によると、コロナ禍以降、海外セレブによる日本のヴィンテージファッションへの関心が急速に高まっているという。良好な保存状態の希少アイテムに対する評価が、SNSを通じて広まったためだ。
AMOREは在庫を国内のオークションで仕入れ、ほぼ全てを外国人観光客向けに販売している。板倉氏によれば、米大リーグのロサンゼルス・ドジャースが今春に来日した際には、選手の妻がシャネルのベースボールシャツを購入したという。
日本人は「物を大切に使い、特別な時しか使わない」と板倉氏は話す。そのため、多くのリユース店では「質屋の文化の中で、状態が良い物が流通している」。


















