「借金7億、あるのは山だけ…」→「そうだ!ここで料理と酒を出したら最高だ」山奥の森を切り開いて"ジブリの世界"を作ったクレイジーな男の開拓記
森のなかを友人に新たに整地してもらい、解体業者に依頼して倒壊していた古民家をみたき園内に移築した。それが園内でいちばん存在感がある、立派な茅葺き屋根の古民家である。
当時は高度経済成長期、古いものを壊して新しいビルを建築する時代に、古民家を山奥に移築するという行為は誰も思いもつかないような発想で、破天荒そのものだった。
政治への関心はなかったが…まさかの町長選当選
寺谷さんは31歳で、節子さんと見合い結婚をする。結婚当初の節子さんは“嫁業”に集中し、みたき園についてはあまり興味がなく、いっさい関与していなかった。
みたき園を軌道に乗せた寺谷さんに、予期せぬ転機が訪れる。
地元紙「日本海新聞」の代表は、日頃からおもしろいことを打ち出す寺谷さんを可愛がっていたのだが、酒の席特有のノリと勢いで、寺谷さんを町長選挙に出馬させる計画を立てたのだ。その一方で、当の寺谷さんはいっさい政治に関心はなかった。
ある日突然、寺谷さんの意思に反し「新人現る」と大々的に候補者として掲載されてしまった。
鳩に豆鉄砲状態の寺谷さんに対し、節子さんは「あなたね、落ちるのは分かっているけど、立候補するからには真面目にやってくださいな」と潔く切り替えた。



















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