「借金7億、あるのは山だけ…」→「そうだ!ここで料理と酒を出したら最高だ」山奥の森を切り開いて"ジブリの世界"を作ったクレイジーな男の開拓記
ある日外回りから事務所に戻ると、鳥取にいるはずの両親の姿があった。
「親父の事業が倒産したって言ってね。お前は長男だから帰ってこいって」
寺谷さんは25歳で地元に戻ることになった。さらには父は銀行に7億円もの借金をしていたことも判明。頭を抱えた。帰郷したものの特にやることもない。お金もない。あるのは持ち山だけだった。
山のなかを歩き、滝が流れ落ちる岩場を目にしてふと思った。
「絶壁の岩場のてっぺんから水を流して、ここでちょっとした料理と酒を飲んだら最高じゃないか」
支店長に直談判して、200万の融資
料理を提供するには、川から水を汲み上げなければならない。おもしろいことを思いついたら即行動するのが寺谷さん。その装置を設置するためのお金を借りようと地元の山陰合同銀行にすぐ向かう。しかし、当時の寺谷さんは銀行がどういうものか、まともに理解していなかったと話す。
「銀行の看板を見つけたら、そこに行ってね。窓口のお嬢さんに『すみません、お金貸してください』って頼めばいいと思ったの」
窓口担当に直談判するものの、きょとんとされる。何回か通ううちに窓口対応ではダメかもしれないと気づき、次は奥にいるお金を貸せる決裁権がある人、つまり支店長を訪ねることにした。
寺谷さんは朝9時の開店時間に行き、支店長が出勤するのを待ち構えた。準備していたのは、元気のいい挨拶と、脳内にある山のなかの事業構想のみ。「なんにも知らないからね、恥ずかしさすらもなかったですよ。きっとクレイジーな男だと思われてたよね」と振り返る。
支店長からは、突然こう切り返された。
「あんたの親父はね、うちに大きな借金してるんだよ」



















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