高齢者の"孤独死"なくしたい! カギは「シェアハウス」「二拠点居住」、不動産会社イチイが孤独・孤立に挑む
また、現在は「おとなの住む旅」という二地域居住の情報提供サイトを運営しており、月間1万5000件以上のアクセスを記録しているそうです。
不動産会社が「エリアケアマネージャー」になるべき
今後、日本で高齢者に対する住宅賃貸がどうなっていくのかと荻野さんに聞くと、次のような答えが返ってきました。
「家族が少なくなってきている以上、住まい方は変わらざるを得ません。特に首都圏では、高齢単身者がどんどん増えていきます。現在、賃貸住宅で一人暮らしをしている40代~50代は、家族を持たないまま20年が経過して高齢単身者になる人も多いのではないでしょうか」
賃貸住宅における管理会社の役割は、今は入居契約や入居中のクレーム対応、建物・設備の維持管理、そして退去時の手続きなどが主ですが、荻野さんは「入居者が変わってきている以上、今後はそれだけでは不十分」だと語ります。
「今後の高齢者の入居を考えたとき、『エリアケアマネジメント』というアイデアが浮かびました。『エリアケアマネジメント』とは『エリアマネジメント』と『ケア』を組み合わせた造語で、私は『エリアケアマネージャー』となることにこそ、不動産管理会社の将来像があると考えています。
例えば、外国人や高齢単身者が入居している住宅の防災対策を考える場合、近隣の人同士で助け合う地域連携は欠かせません。不動産会社が主体となって、入居者と町内会、地域包括支援センター、福祉の担当者などをつなぐ役割が求められるでしょう。
そういった観点で、当社はいま高齢者向け住宅の管理に取り組んでいますし、日管協(公益財団法人日本賃貸住宅管理協会)では、万一の災害時にも避難が遅れがちな高齢者向けの防災マニュアルの作成に着手しています」
高齢者などの住宅確保要配慮者と地域の連携、賃貸住宅のあり方を広い視野で捉えて、今後に活かそうと奔走している荻野さんは「大小さまざまな課題に気付き、少しずつでも改善を図ることで暮らしやすい世の中になることを願っている」と話します。
自分自身で「20年後にどうなるのだろう?」という視点を持って、住んでいる地域の居住支援活動にも注目しながら、多くの人が安心して住み続けることができる仕組みづくりを応援したいものです。
取材・文/福富 大介(りんかく)
共同執筆/唐松奈津子(りんかく)
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