顧客に絵文字を使った若手、「時代が変化しているからOK vs. 不快に思う人もいるからNG」社内で割れた意見→この会社の結論は?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところが、ここで黙っていなかったのが人事部長である。

「私はそうは思いません。私の知り合いに、ビジネスマナーを専門にしている講師がいます。一度、その方に意見を聞いてみてもいいでしょうか?」

ほどなくして、そのマナー講師から返ってきた答えは、実に明快だった。

「お客様とのやり取りで絵文字を使うのは、現時点ではやめるべきです」

理由はこうだ。

マナーは「加点」ではなく「減点回避」のルール

「マナーというのは、印象をよくするための加点のルールではありません。悪い印象を与えないようにするための減点回避のルールです。普通でいい、無難でいい。誰も嫌な思いをしない状態をつくるのがマナーです」

服装もそうだ。ビジネスメールの書き方もそうだ。タクシーにどこから乗るか、エレベーターのどの位置に立つか、応接室でどの席に座るか。気にしない人は、本当にまったく気にしない。しかし、気にする人は細かいところまで見ているのである。

「お客様が100社いたとして、90社は絵文字なんて別に気にならないと言うかもしれません。親しみがあっていいと言うお客様もいるでしょう。でも、残りの10社が社会人なのに絵文字とはどういうことだ、軽く見られている気がすると感じる可能性があるのであれば、それは避けるべきです」

製造業で考えれば、これは不良品の話に近いと言える。100個つくって99個が良品でも、1個が不良品であれば不良率1%という問題になる。品質管理の世界では、その1%をいかにゼロに近づけるかに、血のにじむような努力を重ねている。

「マナーも同じ発想で考えるべきです。100社中100社が何も感じない状態を目指すべきであって、90社にはウケがいいからよしではいけません」

この説明を聞いて、社長は最後にこうまとめた。

「たしかに、その通りだ。今はまだ、絵文字が完全に安全とは言い切れない時代だろう。であれば、リスクがゼロになるまでは、対外的なやり取りでは控えるべきだ。少なくとも当社としては、お客様向けのビジネスチャットで絵文字を使うことは原則禁止にしよう」

こうして、当初は時代も変わったし少しくらい大目に見てもいいのではないかと言っていた社長も、最終的にはマナー講師の意見に合点し、方針を改めることになった。

次ページ絵文字は「共通言語」ではなく「世代で意味が変わる記号」だ
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事