「心がないと人には届かへん」74歳《ヒョウ柄おばちゃん》が語る、弱さを受け止める生き方→「ママ、彼氏に逃げられたぁ」と客の恋愛相談も受ける訳
神奈川県から、盆と正月にかならず来てくれるお客さんがいる。50代くらいの男性だ。その人が店に来るようになったきっかけは、あるテレビ番組で高橋さんが言った言葉だった。
人生は狂いかけたエレベーター。止まった階で笑って生きる
「人生っていうのはね、狂いかけたエレベーターみたいなもんや。そやから、あそこいきたい、こうしたいって自分で思ってても、パッと違う階に止まって『はい降りてください』って。そこで降りるけども、降ろされたとこで『どないして生きていったらええんや』となるねん。でも、どないしたらええんやっていったって、降ろされたら生きていかなしゃあない。そういうもんやねんて。だからそこに沿うていく。それが大事やねん」
その言葉を胸に「どんな人が言ったのか会ってみたい」と何度も訪ねてきたが、最初の2回は挨拶程度で終わった。3度目、店でスタッフとして働く高橋さんの妹としゃべっていたところ、その男性が高橋さんのほうばかり見ていたそうだ。「ママと写真とりたいんか? しゃべりたいんか?」と聞いたら「はい」と。そのとき、「狂いかけたエレベーター」の話をしてくれたという。
「こっちが忘れてるのに覚えてて、すごい重く受け止めてくれてて。人生において大切な言葉や言うてくれた。だから一回本人に会いたかったって。そうなんかって。私自身は感じたままにしゃべってるから、どうっちゅうこともないねんけど」
最後に、改めて高橋さんに「人に頼まれ、求められ続ける理由」を聞いてみた。返ってきた答えは、シンプル。
「やっぱり、人が好きやからかな。それやと思う。人としゃべることはもちろんやけど、人そのものが好きやね。人としゃべる面白さ、しゃべってみいひんとわからへん面白さがたまらんねん」
大の人好き。そして、嘘をつく人をたくさん見てきたからこその「前向きな諦め」と「度量」が、高橋さんの魅力なのかもしれない。ありのまま、どんな人も、どんな人生も受け入れる。それも楽しく。
高橋さんの人生は、“どんな階に止まっても笑って生きる”エレベーターそのものだ。たとえどんな階に降りても笑って生きる――それが、彼女の「強さ」なのだろう。
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