「心がないと人には届かへん」74歳《ヒョウ柄おばちゃん》が語る、弱さを受け止める生き方→「ママ、彼氏に逃げられたぁ」と客の恋愛相談も受ける訳
「それが一番ええねん。嘘も方便っていうけども、嘘ついてなんになんねん。一生のうちね、いいときもあれば苦しいときもあるけども、お互いにそれを乗り越えたり、話を聞いてもらったり、そうして生きてきたんやから。それでええんちゃう? うまくいってるときはワーワー持ち上げて、しんどいときは寄らんとこう、じゃなくて。最近どうなん? って訪ねてあげるのも必要なんちゃうかな。それが人と長くおられる秘訣やと思う」
だから高橋さんの店には、さまざまな人が相談に訪れるのだ。
人って違う。それが、おもろい。
なにわ小町でのお客さんとのやりとりも、飾らない素のまま。買ってもらう相手というより、好きなものや趣味があう「長年の友達」みたいになる客も多いそうだ。
「『こんにちは』からはじまって、『最近こんなことあってね』とか話してたら年齢や趣向もわかってくる。自分がヒョウ柄好きやから、『このお人もそういう時代を歩んでたんやな』とか思ったら、なんぼでも言葉が出てくる。そしたら相手も、『私と同じような気持ちやから、またこよう』ゆうてくれるねん」
仕入れにも「おしゃべり」が生かされている。「こんなんが欲しいねんけど、ママ見てきて」と頼まれて、自分ではよさがわからなくても仕入れた商品がほかの客に売れることも。対話から生まれた商品が、店のラインナップの多くを占める。
「そういうやりとりが楽しい。自分の趣味が商売につながって、友達も増えて、地方から会いにきてくれる人もいる。たわいのないおしゃべりをして、『ここにきたらホッとするわ』とかゆうてもらえる。お客さんとそういう関係性になれるのは、ほんまに人材派遣で働いてた経験のおかげやと思いますわ」



















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